箱のなかにはいっているのは?!
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絵本紹介
2024.01.19
小学校低学年になった途端、“絵本迷子”になっちゃうことはありませんか? 児童書を読むのには苦戦するけど、簡単なおはなし絵本では退屈してしまう。そんな揺らぎの時期におすすめしたい、ちょっと背伸びできるおはなし絵本をご紹介します。
幼馴染で同じクラスの男の子に「すきかも」と言われた女の子。初恋前夜の心の動きをチャーミングに描いた『ちゃうちゃう ちゃうねん』。小学2年生の教科書収録でお馴染みの『おてがみ』を英語音声で楽しめる絵本や、漫画のようなコマ割りが親しみやすい『バムとケロ』は、英語絵本の第一歩に。アーノルド・ローベルによる『いろいろへんないろのはじまり』では、色にあふれた美しいラストを通じて、じんわりと心が温かくなるのを体感してもらえるでしょう。
ドタバタ展開に目が離せない『たこをあげるひとまねこざる』も面白がれるお年頃。暴れん坊の男の子の内面世界を描いた『かいじゅうたちのいるところ』は、共感できるお子さまも多いかもしれません。
どんどん一人で本が読めるようになってほしい反面、まだまだ絵本と親しんでほしいと思う複雑な親心。大人にとっても心に響く絵本ばかりなので、一緒に読めば余韻を共有できるいとおしい時間となるはずです。
みどころ
「ぼく ゆいちゃんのこと すきかも」と同じクラスのあっくんに言われて、ひっくりかえるほど驚いた、ゆいちゃん。「なんで?」と聞いても「来週おしえるわ」としか言ってくれない。今日は月曜日やで。来週まで1週間もある!
あっくんに理由を教えてもらえないので、ゆいは仕方なく、火、水、木、金……毎日考えます。「ぶたばな、ブヒブヒがじょうずやから?」「だんごむし見つけんの、うまいから?」何を聞いてもあっくんは「ちゃうちゃう、ちゃうねん」。ついに約束の「来週」、月曜日にあっくんがゆいちゃんのところに何かを持ってきます。そして「すきかも」と考えた理由を教えてくれて……。
小学校低学年の子たちにぴったりの絵本。ケンカしたり、笑ったり、学校で助け合ったり……そうやって男の子や女の子関係なく、信頼関係を築いていく一方で、「(特定の子に)何かをしてあげたい」と思う繊細な気持ちも、ちょっとずつ揺れ動きながら育っていくのかもしれません。
もりなつこさんの親しみやすい文章に、照れたり驚いたり表情豊かな子どもたちを、はしもとえつよさんが生き生きと描きます。理由を考え尽くしたゆいちゃんが、日曜日に「わたしがすきなもの」について考えるところが微笑ましいです。ぜひ親子やお友だちとで「すきなもの」についておしゃべりしちゃいましょう。子どもたちの前向きな「すき」に心がほこほこする絵本です。
この書籍を作った人
大阪府に生まれる。鹿児島県在住。京都教育大学卒。日本児童文芸家協会会員。かごしま児童文学「あしべ」同人に所属。他の作品に『風よ!カナの島へ』(国土社)、『おじいちゃんとカッパ石』(マイナビ出版)がある。
みどころ
いたずらっこの男の子マックスは、今夜もおおかみのぬいぐるみを着ると大あばれ。
「この かいじゅう!」
おかあさんに怒られても平気で言い返す。
「おまえを たべちゃうぞ!」
とうとうマックスは夕飯抜きで寝室に閉じ込められた。
ところがその部屋に、にょきりにょきりと木が生えだして……気が付けばすっかり森の中。そこへ波が打ち寄せてマックスは船に乗り込んだ。長い時間をかけて航海すると、たどりついたのは「かいじゅうたちの いるところ」。すごい歯をガチガチさせて、うおーーっとほえて、目玉をぎょろぎょろさせ、すごい爪をむきだしている。なんて恐ろしい! でもマックスだって負けていない。
「しずかにしろ!」
怒鳴りつけると、マックスは魔法を使ってあっという間に彼らの王さまになってしまったのだ。彼らは一緒に踊り、遊び、森の中を行進し……。
コルデコット賞を受賞しているこの作品は、国際アンデルセン賞をはじめ、数々の絵本賞を獲得しているモーリス・センダックの代表作。世界中の子どもたちを魅了しつづけているロングセラー絵本です。
なんといっても魅力なのは、威勢のいい男の子マックスとかいじゅうたちの緊張感あるやりとり。あんなに迫力のあるかいじゅうたちが、彼の手にかかると何だか愛らしく見えてくるのです。それでもやっぱり小さな男の子。疲れ切ったあとに思い出すのは……おかあさんの懐かしいあの匂い。
豪快でちょっぴり恐ろしくもあるこの絵本。だけど読めばすっかりその世界に入り込んで夢中になってしまうのは、細かく小さなしかけの積み重ね。くるくる変わるマックスの表情に、本心を読み切れないかいじゅうたちの存在。現実と夢の行き帰り。それは永遠のようでもあり、ほんの一瞬のようでもあり。安堵の気持ちで絵本を閉じ、すぐまた読み返したくなってしまう。大人が読めば、子どもの内面の豊かさを思い出させてくれるような1冊でもあるのです。
この書籍を作った人
1928年アメリカ ニューヨーク生まれ。アート・スチューデンツ・リーグに学ぶ。『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房)でコールデコット賞を受賞、その他『まよなかのだいどころ』『まどのそとのそのまたむこう』(冨山房)、『ロージーちゃんのひみつ』(偕成社)、『そんなときなんていう?』(岩波書店刊)、『くつがあったらなにをする?』(福音館書店刊)、『ミリー』(ほるぷ出版)他多数の作品がある。国際アンデルセン賞、ローラ・インガルス・ワイルダー賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞などを受賞。
この書籍を作った人
〈1932年-〉群馬県生まれ。青山学院大学名誉教授。児童文学評論、創作、翻訳など、幅広く活躍。おもな訳書に『アーサー・ランサム全集』(岩波書店)、評論に『世界児童文学案内』(理論社)、創作に『たけのこくん』(大日本図書)などがある。
出版社からの内容紹介
ある日,ひとりでるす番をしていたジョージは,窓からウサギ小屋を見つけ,すぐ外に出ていきました.子ウサギとかくれんぼしたり,釣りをして池に落ちたり…そして今度は,たこあげに挑戦します.
この書籍を作った人
ハンス・アウグスト・レイ(1898-1977)マーガレット・レイ(1906-1996)ハンスはドイツのハンブルクに生まれ、幼い頃から、絵を描くことと動物が大好きでした。マーガレットも同じ町の生まれ。ともにドイツ系ユダヤ人の家庭で、家族同士の交流もありました。ハンスは第一次大戦中、ドイツ軍の兵士として従軍。戦後は大学で哲学や医学、外国語を学びますが、1924年、深刻な経済不況のためブラジルのリオデジャネイロに渡り、親戚の会社で働きはじめます。 マーガレットは美術学校を卒業後、写真家になりますが、ヒトラーが政権を握ると、ドイツを去ってブラジルへ渡り、1935年にハンスと再会します。ふたりは広告代理店をはじめ、まもなく結婚。新婚旅行先のヨーロッパでパリが気に入り、そのまま住み着きます。そして、ある雑誌の載ったハンスのユーモラスなキリンの絵がきっかけで、最初の絵本『きりんのセシリーと9ひきのさるたち』が誕生します。ふたりは、そのなかに登場する知りたがりやのこざるを主人公にしたお話を作りはじめます。第二次世界大戦がはじまり、1940年6月、ついにナチス・ドイツ軍がフランスに侵攻してきたとき、ふたりはその絵本の原稿とわずかな荷物だけを持ってパリを脱出、4か月かけてアメリカのニューヨークへたどり着きます。おさるのジョージの最初の絵本が出版されたのはその翌年でした。以来、ハンスとマーガレットは共同で、ジョージやその他の楽しい絵本をつぎつぎと生みだしました。
出版社からの内容紹介
近くの森にきいちごをつみにいって、つるくさに覆われた古い小屋を見つけたバムとケロ。修理がとくいななんでもやのソレちゃんといっしょに、もりのこやのおおそうじをはじめます。
大人気の絵本『バムとケロのもりのこや』を、カナダ在住の作者と、40年以上日本で暮らす翻訳者が、バムとケロの世界観を大切に、日本語のニュアンスにこだわってつくった英語版。自然な英語で物語を楽しむことが出来ます。
この書籍を作った人
東京デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒業。パッケージデザインなどを経て、フリーに。絵本に『バムとケロのにちようび』、『バムとケロのそらのたび』、『バムとケロのさむいあさ』、『バムとケロのおかいもの』、『バムとケロのもりのこや』、『かばんうりのガラゴ』、『うちにかえったガラゴ』(以下文溪堂)、『かぞえておぼえるかずのえほん』(すずき出版)、『ぶーちゃんとおにいちゃん』(白泉社)がある。カナダ在住。
出版社からの内容紹介
大人気絵本の「がまくんとかえるくん」シリーズの『ふたりはともだち』が英語と日本語
のCD付きで初登場です! 谷川賢作氏(作曲家・ピアニスト 父は谷川俊太郎)に
とてもピッタリなBGM音楽をつくっていただきました。
小学校で絵本を使った英語活動が増えてきています。教科書に出てくるお話でもあります
ので、はじめて英語にふれるお子様に自信を持ってお薦めします。
もちろん、大人の方にもコーヒーでも飲みながら、ゆったりと聴いていただける内容です。
ちょっと“やり直し英語”ができますよ!
この書籍を作った人
1933年アメリカ ロサンゼルス生まれ。高校卒業後ブルックリンの「プラット・インスティテュート」に入学。本のイラストレーションを学ぶ。ポーランド生まれのアニタ・ローベルと出会い結婚。『わたしの庭のバラの花』など、ローベルが文、アニタが作画を担当した絵本も出版されている。『ふたりはともだち』でコルデコット賞次賞と全米図書賞、『ふたりはいっしょ』でニューベリー賞、『どうぶつものがたり』でコルデコット賞を受賞。20世紀アメリカを代表する絵本作家となる。その他の作品に『ふくろうくん』『おはなしばんざい』(以上文化出版局刊)などがある。1987年ニューヨークの病院で他界。
この書籍を作った人
東京都生まれ。詩集『わがキディ・ランド』で高見順賞、『鶸』で芥川賞、童話『ぽたぽた』で野間児童文芸賞、『イヌのヒロシ』で路傍の石文学賞、評伝『北原白秋』で毎日芸術賞など受賞。他の児童向けの本に『おおやさんはねこ』『星のカンタータ』『ほろびた国の旅』『イトウくん』など、翻訳にアーノルド・ローベル『ふたりはいっしょ』などがある。
出版社からの内容紹介
昔、色のない時代がありました。魔法使いが、最初は青、次は黄色、その次は赤の世界を
つくりだします。 でも、一つの色だけでは、なんだか落ち着きません。
そこで色を混ぜ合わせると、どうなったでしょう?
この書籍を作った人
1933年アメリカ ロサンゼルス生まれ。高校卒業後ブルックリンの「プラット・インスティテュート」に入学。本のイラストレーションを学ぶ。ポーランド生まれのアニタ・ローベルと出会い結婚。『わたしの庭のバラの花』など、ローベルが文、アニタが作画を担当した絵本も出版されている。『ふたりはともだち』でコルデコット賞次賞と全米図書賞、『ふたりはいっしょ』でニューベリー賞、『どうぶつものがたり』でコルデコット賞を受賞。20世紀アメリカを代表する絵本作家となる。その他の作品に『ふくろうくん』『おはなしばんざい』(以上文化出版局刊)などがある。1987年ニューヨークの病院で他界。
文/栗田奈緒子 編集/木村春子