世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2024.03.05
長年、子どもの本を出版している、出版社の周年をお祝いする連載。今回ご紹介するのは、『モチモチの木』や『としょかんライオン』など世代を超えて愛される絵本、そして「はれときどきぶた」シリーズ、「ホーキング博士のスペースアドベンチャー」シリーズなど人気の児童書を多く手掛ける岩崎書店さんです。90周年を記念した特設サイトや記念フェアも絶賛開催中、みなさんもぜひ参加してくださいね。
みどころ
図書館というところは、「決まりを守れば」誰でも入れるところです。
例えそれがライオンでも。
……そんなことってあるの?
でもある日、その図書館に大きなライオンがやって来たのです。
決まりをとっても重視する図書館長のメリウェザーさんですが、決まりさえ守れば誰でも分け隔てなく受け入れてくれます。だからライオンは彼女のもとで、色々なお手伝いをするようになるのです。図書館に来る人も最初は怖がっていたのですが、だんだんとライオンに会いにやってくるようになります。何しろお行儀がよくて、とても気が利きますからね。こんなに大きくて優雅なライオンが、静かに本を読む子どもたちと一緒に過ごしている姿、なんていう光景でしょう、うっとり見とれてしまいます。ところが、そう思わない頭のちょっとかたい人もいるようで…!?
図書館にライオン。突拍子もないようでしっくりくる組み合わせの秘密は、入り口にある銅像にあるのでしょうね。もしかしたら、こんな風に実際にライオンに会いに来ている子どもたちもいるのかもしれません。図書館が、誰もが居心地よく、誰もがワクワクする場所になるのだとしたら、私たちの図書館にも来てもらいたな、でもやっぱり怖いかな。
本が好きでたまらない子に、ライオンにとても憧れている子に。図書館が大好きな大人にも。世界中で人気のこの絵本がおすすめです。
みどころ
お弁当の時間、自分の弁当箱を開けたゆずるくんは「うわっ、ピーマンがはいってる! ぼくピーマンきらい、あっかんべー!」といやな顔。
その様子をピーマンが見ていました。
「ゆずるくん、ぼくのこと きらいなんだ……」
黒いりっぱな眉、真っ赤な頬、むきだしの膝小僧がかわいいピーマン。
うるうるした目からは、今にも涙がこぼれそう。
「畑にいたころは、お弁当のおかずになるのが夢だったのにな……」
ゆずるくんが「おかしはだいすき」と言っているのを聞いたピーマン、すごいことを思いつきます。
「ぼくも おかしに なってみよう!」
えっ、ピーマンって、お菓子になれるの!?
包み紙を体に巻きつけてキャンディに変身したり、ケーキの中に埋まってみたり、チョコレートをかぶったり。
ピーマンはがんばります!
でもなかなかうまくいかないみたい。
しょんぼりするピーマンを見つけたゆずるくんは……?
画面いっぱいに描き込まれたあざやかなお菓子と、その中でがんばるピーマンの姿がシュールです。
ありえない組み合わせに、思わずぷっと笑い出してしまいそう!
でもピーマンは真剣な顔。けなげで目が離せません。
“嫌われもの”になりやすいピーマンですが、こんなに一所懸命でかわいいなら、もしかしたら子どもも「食べてあげようかな」って思うのではないでしょうか。
作者の岩神愛さんは、絵画工作講師をつとめる幼児教室で出会った子どもたちと、食育に悩む親御さんたちを見ていて、この作品を思いついたそうです。
ポップでカラフル、ちょっぴりレトロなテイストが魅力的で、探し絵も想像以上におもしろい!
今後、ファンが増えることまちがいなしですね。
次作『おもちゃになりたいにんじん』もあわせてご覧下さいね。
1934年創立当時は、社会科学書を中心とした専門書の出版社でしたが、岩崎書店の創設者は、戦後の混乱期に、「日本を復興させるには子どものための本を出版することが何より大事」と考え、児童書専門出版社の岩崎書店として新たなスタートをきりました。
2024年2月11日、岩崎書店は創立90周年を迎えました。「この1冊が未来をつくる」をスローガンに、これからも子どもから大人まで、多くの方々に読書の楽しみを伝える本を出版してまいります。