日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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絵本紹介
2024.04.22
植物が芽吹き、生きものたちが冬の眠りから目を覚ませば本格的な春の到来! 周囲の自然にじっくり目を凝らしてみると……チョウにアリ、テントウムシ、虫たちも元気に活動をはじめています。舞ったり飛んだり運んだりと働き者の昆虫たち、小さな体からみなぎる息吹に、なんだか私たちもパワーをもらいますよね。
そんな虫たちの世界への想像力をかきたてられる、楽しい絵本をご紹介します。 カエルとの対峙がリズミカルなことばと躍動感ある版画で描かれた『ジロッ』。生きものたちに大人気「がたん もにょん がたん もにょん」と野を走る姿が楽しい『いもむしれっしゃ』。図鑑とはひと味違う昆虫へのやさしいまなざしが魅力の『昆虫とあそぼう』。生命力あふれる春を描いた絵本のなかで、昆虫たちの存在はひときわ光を放っているように感じます。
外に出たら、原っぱに、街路樹や道端の草花に、そっと視線を向けてみてください。絵本で出会った昆虫たちが、みなさんのすぐそばにいるかもしれません!
みどころ
野原にカエルが一匹、ぴょこん。
『ジロッ』とにらんで、サナギを『パクッ』。
まんぷく、お昼寝『ケロケロスー』。
そしたらこんどは、ヘビが『ジロッ』!
擬音語だけで描かれる、カエルを襲った大事件!!
ヘビに追われて崖から落っこち、あわやと思えば、まさかのペリカン!? 空中でパクリと丸呑みされて、それでも終わらぬ大騒ぎ!
擬音語だけで描かれる物語はテンポがよく、次々におそいくる意外なできごとも相まって、その目まぐるしさに思わず笑ってしまいます。
主人公のカエルは、寝息が『ケロケロスー』!? 崖から落ちれば、悲鳴は『ケーロー』! ときおり発せられる独特の擬音語で、おかしさ、可愛さ、さらにマシマシ!
初めの『ジロッ』と終盤の『ジロッ』で、同じ擬音なのに印象がまるっきりちがうのも、おもしろいところ。カエルがそれぞれなにを思って『ジロッ』としているのか考えると、かわいそうだけど、やっぱりおかしい!
『ジロッ』ではじまり『ジロッ』で終わる、にぎやかな一瞬の大冒険!
この書籍を作った人
1959年 広島県福山市生まれ。『だるまなんだ』(絵/丸山誠司・絵本館)で絵本作家デビュー。大成修司で俳優、ナレーターとしても活動中。
この書籍を作った人
1986年東京都生まれ。和光大学表現学部芸術学科卒業。2007年に長野で牛にかこまれたときの衝撃から、生き物と目があった瞬間の「見たら見られた」をテーマに木版画を制作している。個展、グループ展での発表も多数。2017年『マンボウひまな日』(絵本館)で絵本作家デビュー。主な作品に『みたらみられた』(アリス館)、『あめちゃん』『きょうは泣き虫』(以上、好学社)、『うみのあじ』(あかね書房)、『だんだん だんだん』(ひさかたチャイルド)がある。
出版社からの内容紹介
細部まで描かれた虫の様子や表情、動きに注目の一冊! 見ているだけでも楽しめる絵本です。
がたん もにょん がたん もにょん。いもむしれっしゃは、虫のお客さん達を乗せ今日も元気に発車します。
もうすぐ次の駅。「はらっぱだんち はらっぱだんちでございまーす」ブロックアパートに住んでいる虫達は続々と降りていきます。さて次は…。「のうえんまえ のうえんまえでございまーす」いもむしれっしゃは、駅にいるカナブンおじさんに元気よく声をかけました。次は真っ暗なトンネルの中。「つちっこよこちょう つちっこよこちょうでございまーす」モグラちかがいでは、ミミズソフトが売られ、カラオケ大会が開かれ、とってもにぎやかです。終点までもうすぐのところで、突然目の前に大グモが現れました。いもむしれっしゃも、お客さんも大きな悲鳴をあげましたが、かみきりレンジャーがとんできて、大グモをやっつけてくれました。
この書籍を作った人
1983年、福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業。第6回ピンポイント絵本コンペにて優秀賞を受賞し、受賞作『いもむしれっしゃ』でデビュー。
この書籍を作った人
(戸田幸四郎 1931年−2011年)山形県尾花沢市生まれ。都市計画から店舗デザイン、グラフィックまであらゆるデザインを仕事とする。51歳の時、デザイナーから絵本作家に転向。80歳で亡くなるまで42作品を発表。そのどれもがロングセラーとなる。絵はもちろん、ひらがなまで全てをデザインした『あいうえおえほん』は累計100万部を超え、日本の知育絵本の草分けと評されている。他にも宮沢賢治・太宰治などの文に重厚な絵を描いた名作絵本集や環境をテーマにした創作絵本集など出版。静岡県熱海市には自身が建築デザインから手がけた戸田幸四郎絵本美術館がある。
みどころ
「がたこん がたこん がたこん がたこん」
桜やチューリップが咲くうららかな春に電車がやってきました。
「のっているのはだれだろう」
窓を見るとヒントがあって、だれが乗っているのか予想がつきます。どうやら季節にぴったりのものたちが乗っているようです。パタっと右側のページをたおすとしかけページが広がって、おひなさまとさくらんぼが現れました。
「のっているのはだれだろう」
他にもお客さんが乗っているようです。さらにパタっとページを広げると、これまた春らしいものたちが。そして長い電車が出現するという楽しいしかけです。
春夏秋冬、それぞれに電車がやってきて、季節ならではの乗客たちが顔をのぞかせます。丸山誠司さんのユーモラスでカラフルなイラストは、個性的で賑やか。とても楽しい気分にさせてくれます。
日本の四季や行事を楽しむのにもぴったりの絵本です。一緒に読めば親子の会話も広がりそうですね。しかけを広げる前は手のひらサイズなので、かばんに忍ばせておくのも良さそう。この楽しいしかけ絵本をいつでもどこでも楽しんでください。
みどころ
馬の群れの中から、走り出した「こうまくん」。
こうまくん はしる はしる。
てんとうむしさんや、うさぎさんに「どこいくの?」と聞かれても、
おがわさんに「あそぼ あそぼ」と言われても。
こうまくんはただひたすらに走り続けます。
転んでも、強風が吹いても、大雨が降り注いでも、
こうまくん はしる はしる。
一体、こうまくんは何故走っているのでしょうか?
こうまくんが走った先に待っているものはなんなのでしょうか?
この作品のみどころは、なんといってもこうまくんが楽しそうに走っているということ、そして、きくちちきさんの勢いのある筆のタッチから描き出される、こうまくんのエネルギッシュな疾走感とすがすがしさ、それに尽きるのではないでしょうか。
読み終わったら、こうまくんのように走り出していきたくなる一冊です。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。2013年『しろねこくろねこ』(Gakken)でブラチスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞。2019年『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展金牌を受賞。他に『しろとくろ』(講談社)、『でんしゃ くるかな?』(福音館書店)、『やまをとぶ』(岩波書店)、『ねこのゆきちゃん』(ミシマ社)など。現在は神奈川のいろいろな生きものが暮らす里で、家族と山を眺めながら、創作をしている。
文:竹原雅子 編集:木村春子