箱のなかにはいっているのは?!
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絵本紹介
2024.06.11
真夜中、ものすごい音で目が覚めたれいちゃんとあやちゃんは、くらい階段をのぼって2階へ。そこにいたのは……!? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『まよなかのかいじゅう』。小さな姉妹の楽しい夜を描いたこの絵本、いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「ごおー ぷすー ごおー ぷすー」
真夜中、ものすごい音が聞こえて目が覚めたれいちゃん。隣に寝ているあやちゃんを起こし、ふたりはくらい階段をのぼって2階へ確かめに行くことに。
「ごおおー ぷすー ごおおー ぷすー」
音がひびいている部屋のドアの奥からは、見たことのない葉っぱがぐんぐんのびている。懐中電灯で奥をそうっと照らすと……ベッドの上に眠っていたのは、山のように大きなかいじゅう! 思わずれいちゃんは走り出し、かいじゅうに向かってまっしぐら。あやちゃんも慌てて追いかける。お腹の上まで登りついた時、れいちゃんは深呼吸をしてから言うのです。
「かいじゅう ちょうさ、かいし!」
へんな音がするからと、すぐに部屋を飛び出していくれいちゃん。うつらうつらでれいちゃんを追いかけるあやちゃん。
目の前に広がる極彩色に彩られた心はずむ夜の時間!小さな姉妹ふたりが真夜中に出会ったのは、ピンク色のふさふさの毛におおわれた謎のいきもの。ふごふごと動く鼻の穴、さわると大きく開いたくちびるに、ぽよんぽよんとはねるお腹の上。おそろしいはずなのに、ふたりはどんどん楽しくなってきて、かいじゅうの上でおおはしゃぎ。得体のしれないものに出会った時の子どもたちの発想力ときたら、なんて豊かなのでしょう。
夢のようでいて、なんだか懐かしい感覚もよみがえってくるこのお話のタネとなったのは、作者の阿部結さんが、幼い頃に実際に聞いていたお父様の地響きのようないびきの轟音なのだそう。ドキドキとワクワクが入り混ざる冒険物語、一緒に楽しんでみてくださいね。
恐れを知らないふたりは
いくら家の中とはいえ、これは大変な調査ですよ。大きなトンネルに、ものすごい鼻息。くちびるをめくれば、そこは大きな底なしの穴。ぼよんぼよんした地面だって、じっとしているわけではありません。大きなかいじゅうに全身を預けながら、隅々まで調べ上げ、存分にその面白さを体感していく姉妹の姿の愛らしいこと!恐れを知らないふたりは、それこそ「ちいさなかいじゅうたち」ですよね。ちゃんと大人しく寝るのかな。最後はおかあさんの視点もちょっぴり入って……一家総出で楽しめる一冊になっています。
この書籍を作った人
1986年、宮城県気仙沼市生まれ。美術教師であった画家の父の影響で、幼少のころから絵に親しんで育つ。パレットクラブスクール、あとさき塾にてイラストレーションと絵本制作を学ぶ。書籍装画や演劇の宣伝美術などを数多く手掛ける。イラストレーションの仕事に、『世界不思議地図 THE WONDER MAPS』(佐藤健寿/ 著 朝日新聞出版)、『サラリーマンのごちそう帖』(藤枝暁生/著 朝日新聞出版)、絵本の作品に『あいたいな』(ひだまり舎)などがある。東京都在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。