超おもしろい、腸の世界を探検しよう!
- 笑える
- 学べる
いつもお母さんに見守られて暮らしてきたくまくん。でも別れるときがやってきました。これからは、一人で食べものを探さなければなりません……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『くまくんです』。村上康成さんが贈る、この星の上で共に生きるエール。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「やっほーい!」
冬眠から目を覚まし、巣穴からとびだしていくのは、くまくん。フキノトウやイタドリをむしゃむしゃ食べ、木に登ってブナの若葉を食べ、サルナシやドングリ、ヤマブドウも食べます。お母さんに教えてもらったのです。
「あれっ?」
キイチゴに夢中になっていると、ふとお母さんがいないことに気がついたくまくん。今日からは自分で食べ物を探さなくてはなりません。ひとりで暮らしていく日がやってきたのです。色々な動物に出会い、驚いたり、さまよったり。さまざまな経験をしていくなかで、くまくんは少しずつ成長していきます。
冬眠中に生まれた子ぐまを、春から夏、たとえば大好物のキイチゴの場所に連れて行き、子ぐまが夢中になって食べている隙に、母ぐまがいなくなる。この子別れ親別れのことは「イチゴ落とし」とも言われているそう。
山の中に生きる動物たちを、シンプルにデザインされた背景の中で愛情たっぷりに描く村上康成さん。ふいに新しい生活へと放り出されたかのように見えるくまくんは、無邪気で愛らしく見える一方で、ただその日に食べるものを探すために歩きつづける姿は、頼もしくも見えるのです。
これから未来に向けて歩みだす子どもたちだって同じです。この先に何があるのかな、誰と出会うのかな。厳しくも美しい自然の中で健やかに暮らす動物たちを見ながら、きっと力をもらうことでしょう。とっとこ、とっとこ、今日も元気に絵本の中で走りまわっているのは……
「くまくんです。」
大きな山に見守られ
草むらからがさっと音がして、きょとんとこちらを見ているくまくん。このとっても愛らしい表紙の絵は、作者の村上さんが川で釣りをしている時に、実際にツキノワグマの子に出会った時のイメージから描かれているのだそう。くまくんは、さぞかしドッキリしたのでしょうね。けれど絵本を読んでいればわかります。くまくんたちは、この健やかで大きな山に見守られ、すくすくと成長してくのです。そうやって自分の生きる道を見つけていくのでしょう。私たち大人も、子どもたちを大きな気持ちで見守りながら、エールを送ることができたらいいですよね。
この書籍を作った人
1955年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルドライフアート、オリジナルグッズなどで独自の世界を展開する、自然派アーティスト。「ピンクとスノーじいさん」(徳間書店)、「プレゼント」(BL出版)、「ようこそ森へ」(徳間書店)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞、「ピンク!パール!」(徳間書店)で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、「なつのいけ」(ひかりのくに)で日本絵本賞大賞、「999ひきのきょうだいのおひっこし」(ひさかたチャイルド)が2012ドイツ児童文学賞にノミネートなど国内外で高く評価されている。主な作品に「星空キャンプ」(講談社)、「さかなつりにいこう!」(理論社)、「石のきもち」「くじらのバース」(ひさかたチャイルド)、新刊「どろんこ!どろんこ!」(講談社)など多数ある。伊豆高原と石垣島に、村上康成絵本ギャラリーがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。