自分がどうしようもなく小さく思える。誰にも気にされていないんじゃないかと感じる。そんなきみにこそ、伝えてあげたいのは……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『きみはたいせつ』という絵本。どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
「いそがしすぎて だれも たすけてくれなくても、わすれられてる わけじゃない」
シンプルな言葉と愛らしい絵のくりかえしのようでいて、でもその内容は、さまざまなとらえ方が出来るように描かれている。自分とは関係がないと思えるほどスケールの大きな話から、昨日自分が感じたばかりの身近な感情まで。それが自然とつながっていくこの絵本。読んでいるうちに、不思議とわきあがってくるのはひとつの感情。
自分は、誰かとつながっている。
作者は、『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)でコールデコット賞オナーブックに選ばれ世界で注目されている絵本作家クリスチャン・ロビンソン。『きみはたいせつ』も世界8か国、6万部以上も出版されているそう。原書はYou MatterというBlack lives matterにも呼応するタイトルで、子どもたちも含め、誰も排除されない社会への願いがこめられています。
「どんなきみだって、たいせつ」
ゆっくりと、そして、くり返し。一緒に読み続けてあげてくださいね。
全てを平等にとりあつかっているからこそ
その年齢や性別、人種や性格だけでなく。悩みの大きさや種類、出来事のスケール感まで。さまざまな違いを越えて、全てを平等にとりあつかっているからこそ、どんな読者の心にもまっすぐに突き刺さるような絵本となっているのです。毎日をただ楽しく過ごして欲しい子どもたちにも、今この瞬間にも切実な悩みを抱えているような大人にも。優しい言葉の一つ一つに、心が包みこまれるような感覚を味わってもらえたら。そんな風に願ってしまいます。
この書籍を作った人
1986年アメリカ、カリフォルニア生まれ。カリフォルニア芸術大学でアニメーションを学び、セサミワークショップやピクサースタジオなどで働いたのち絵本作家となる。おもな作品に『ガストン』(講談社)、『がっこうだってどきどきしてる』(WAVE出版)などがある。『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)がコールデコット賞オナーブックに選ばれる。カリフォルニア在住。「ぼくたちはみんな、どこかでつながっている。そのことを今の子どもたちに伝えたい」と語っている。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。児童文学や絵本の翻訳にたずさわる。おもな作品に『きみはたいせつ』『フランクリンの空とぶ本やさん』のシリーズ(いずれもBL出版)や『キャラメル色のわたし』『地球のことをおしえてあげる』(いずれも鈴木出版)、『300年まえから伝わる とびきりおいしいデザート』(あすなろ書房)、『わたしたちだけのときは』(岩波書店)、『サディがいるよ』(福音館書店)、『いえのなかと いえのそとで』(廣済堂あかつき)など多数。やまねこ翻訳クラブ会員。山形県在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。