世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
世界はなんだか静かです。林の木々には葉っぱもありません。でも、耳をすませてよく見ると……? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『キツネ 命はめぐる』。死は、たくさんの命のはじまりでもあるという、このお話。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
地面も凍る寒い冬、林の木々には葉っぱもありません。でも、耳をすませてよく見ると、命がこっそりうごいているようで?
サクサクっと音をたてて歩いているのは、キツネです。巣の中で待つ子ギツネたちに持ちかえる食べものを探しているのです。子ギツネたちは、鳥や植物、水や空気から必要なものをもらいながら、すくすく育っていきます。
やがて、彼らも自分たちで食べものを探しに行かなければなりません。子ギツネがじっと息をひそめ見ている前で、キツネが獲物をとらえます。やった! ところが、その時。車のライトで目がくらみ、キツネははねられ……。
心臓の音がゆっくりになり、やがて息がとまりました。それでも3びきの子ギツネたちは、生きていかなければなりません。
やがて季節は移りかわり、小さな生きものたちが動きはじめ、キツネはだんだん消えていきます。小さな粒となり、土や植物や空気の中にとけていき、そしてまた新しい命が生まれてきます。その死はひとつの命の終わりではないのです。
「生きものは死んだらどうなるの?」
豊かな自然を美しい色彩で、生き生きと動きまわるキツネたちを愛らしく躍動感たっぷりに描いたこの絵本。それだけでも見ごたえがありながら、キツネの死を通し、命がめぐっていく物語を、科学的根拠に基づいた内容でしっかりと伝えてくれます。巻末には解説もついています。
どこかでつながっているのかもしれない
なにも起きていないような静かな場所で、こんなにも大事な命のやりとりが、ここかしこで行われている。その現実は、ドラマチックで悲しげでもありながら、豊かで清々しい世界でもあります。自分の命も、こうしてどこかでつながっているのかもしれない。そう感じることで、「死」への漠然とした不安が少し和らぐような気がしてくるのです。
この書籍を作った人
イギリス生まれ。科学および自然についての本を、子どもたちに向けて、たくさん書いてきた。『蛾』(化学同人)は、ケイト・グリーナウェイ賞にノミネートされた。
この書籍を作った人
スウェーデン生まれ。画家、イラストレイター。シャネルのデザインも手がける。『蛾』(化学同人)は、ケイト・グリーナウェイ賞にノミネートされた。ほかに、『おっこちてきた』(光村教育図書)など。
この書籍を作った人
福島県に生まれる。早稲田大学卒業。翻訳家、エッセイスト。絵本の翻訳に『プレストとゼストリンボランドをいく』(岩波書店)、『ベンソン先生にあたしはきっと★はもらえない』『おっこちてきた』(光村教育図書)など多数。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。