新刊
世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

《スペシャルコンテンツ》あそびにきてくれました!

2008.06.10

絵本「おしゃれなのんのんさん」
風木一人さんが絵本ナビオフィスに遊びに来てくださいました!

「のんびり のんきな のんのんさん」という、チャーミングないのししが主人公の

おしゃれなのんのんさん

おしゃれなのんのんさん
作:風木 一人
絵:にしむら あつこ
出版社:岩崎書店

のんのんさんは、いのししです。いつもはだかんぼうですが、今日はまちでおしゃれ。風でとんでしまったぼうしをやっとつかまえたと思いきや……ああ、のんのんさんったら!

という新しい絵本。
その作者である風木一人さんが絵本ナビに遊びにいらして下さいました。

風木一人さん 風木さんは、現在あまり多くはない「文章専門の絵本作家」さんです。
おしゃれなのんのんさん」のお話と、風木さんの制作にまつわる興味深いお話を、たっぷり聞かせて頂きました!
風木さんの作品はこちら>>>

人気絵本「ながいながいへびのおはなし」のお話をつくられたのも風木さんですよ。

■ 「のんのんさん」の魅力を表現してくれる画家さんは・・・?

「 はだかんぼうも わるくないが、 たまには おしゃれを してみよう 」
やまから おりてきた いのししの、
のんきで ゆかいな だいかつやく!
ああ、のんのんさんたら!

おしゃれなお店で、お姉さんに全身コーディネートしてもらって、2本足で立って、きめきめスタイルののんのんさん。
でも、ぼうしのひもをほどいて「らくちん らくちん」なんてつぶやいて。
あーやっぱり・・・と思っていると、かぜがぴゅうっとふいてきて。
思った通りといいますか。のんのんさんは次々に服を脱ぎながら走って追いかけていきます。
気がついたら、のんのんさんったら4本足で走っていますよ!

のんのんさん

まずこのお話、この2本足から4本足への切り替わりがとってもユニーク。
いくらお洒落していたって、のんのんさんはいのししだからね、走るよね。

「この場面を、自然に描いてくれる画家さんじゃないと!!」

風木さんは、かなりこだわって依頼されたそうですよ。

そして、このちょととぼけた雰囲気ののんのんさんを見事に愛らしく描き上げているのがにしむらあつこさん。
風木さんに言われて改めて見ると、2本足で立っていても、4本足で走っていても、確かに「のんのんさん」ですね。不思議な魅力です。

■ このお話のポイントは「お着替え」!

何といっても、この絵本の面白さは、ぼうしを拾ったのんのんさんが、自分でもう一度服を着ていく場面。
(ここは実際に読んで楽しんでね。)
実は、風木さんがこのお話を考えるきっかけになった、アイデアのキーワードが「お着替え」だったそうです。

「小さい子にとって、例えば靴下一つでも、自分ではける様になるって事がとっても大きな出来事だと思ったんです。
自分ではいている時の誇らしげな顔が、とってもいいなぁ・・・と。」

確かに、かなり得意気ですよね。それが例えちょっと間違った着方であっても。

「そうなんです。子どもが一人で得意気に着ているのに、ちょっと間違った着方だったり
 する様子が、凄く可愛いし面白い!」

これをテーマにお話を作りたいなぁ・・・と考えられていたそうです。

そこに、
・「いのしし」がおしゃれをする。
・2本足から4本足になる・・・
なんて風木さんならではのアイデアが付け加わった瞬間に、
「これは絵本になる!!」

おしゃれなのんのんさん」誕生の瞬間です。

■ 絵本になるまで・・・。

風木さんは、このアイデアが出てきた後、まずご自分で、イメージの絵コンテを描かれたそうです。

風木一人さん 絵コンテ
見えにくくてごめんなさい!
いい味出してます。既に変な服の着方をしてるし。
何だか面白いお話になりそうオーラを感じませんか?

この様に、風木さんの場合はイメージをしっかり創った状態で、画家さんとやりとりをする事が多いそうです。
(この辺りの方法は、作家さんによって本当に様々なようですね。)

にしむらさんにも、お話の意図やイメージをしっかり伝えた上で、「さて、どう料理してくれるのかな?」
楽しんでいる様な、挑戦状を出している様な!?

風木一人さん そこで、さすがのにしむらさん。
例えば、のんのんさんが行ってから「帰ってくる場面」。
その方向性の違いを、思いもよらない方法で表現されてびっくりなさったそうです。
(素人の私には、言われないと解らない位に自然なのが魅力なんです。)

更に最後の場面は、にしむらさんのアイデアも生かされているそうですよ!
ここも、「のんのんさん」の人気者たる所以が表現されている様で、
私も好きな場面です。
ちなみに原画は黒い線で描かれているそうです。 ちょっと新鮮>>>

■ おはなし会では、こんな風に楽しんで欲しいなぁ。

「一人で着替えが出来る様になってきた頃の子ども達。そんな子達の前で、読んでみて欲しいなぁ。」

「あー!間違ってるよ。」
「ちがう、ちがう。そこじゃないよ!」


なんて、ちょっと得意顔で、みんながのんのんさんに突っ込みながらおはなしが進んで行くと面白いだろうな、と風木さん。
実際に、4歳の我が息子も、「またーーー。」「のんのんさんー。」
なんて、ずっこけながら思いっきり突っ込んでましたよ(笑)。

■ 絵本作家のお仕事。

ところで、冒頭にも触れました通り、風木さんは、文章専門の絵本作家さんです。
普段、どんな風に絵本を制作されているのでしょう?

もともとは、風木さん、文章だけで表現する童話作家・児童文学作家を目指していらしたそうです。
それがあるお話を考えているうちに、文章だけで表現するのではなく、絵と組み合わさる事で、絵だけ、文章だけでは絶対表現できない事が表現できる・・・という事に気がつかれたそうなのです。

まさに、絵本の魅力にとりつかれるきっかけとなった、初めての絵本がこちら↓

ながいながいへびのはなし

ながいながいへびのはなし
作:風木 一人
絵:高畠純
出版社:小峰書店

長い長いへびがいました。頭がお昼を食べるころ、しっぽは夜の国でぐっすり……。あんまり大きくなりすぎて、ずっとはなればなれになっていた頭としっぽ、また会えるかな?

高畠純さんが絵を描かれています!)

まずこのお話のアイデアが出来上がった時、ご自分で丁寧にラフを描かれたそうです。
そして、それを閉じて簡単な絵本の状態の見本を創られたのです。
(実物を見せて頂きましたが、モノクロであったりミニサイズではあるものの、構成などは殆ど出来上がりと変わらないのです!)
この見本を持って、出版社を持ち込みとしてまわられたそうです。

確かに、文章やアイデアという、とっても凝縮された要素から、編集者が「これは絵本になったら面白い!」と判断をするのは、大変な作業かもしれません。
現に、一緒にいらしていた「のんのんさん」を担当された編集者の堀内さんも、「やっぱり最初は、話を伺っているだけでは、なかなかイメージが湧かない事もあるんです。」なんて、正直な言葉もぽろり。
一方で、何とかイメージを伝えたいのは作家さん。
この段階で、既に大きな勝負事が行われている訳ですね。

そして、次の段階が何といっても画家さんとの出会い。
作品を創り上げる際に、必ず組まれる相手がいる・・・という点が、絵本画家さんとの大きな違いかもしれませんね。

出会いのきっかけは編集の方だったり、ご指名だったり・・・
様々だそう。でも、個人的な意見としては、作家さんと画家さんとの化学反応が大きければ大きい程、お互いの新たな魅力が生まれ出て、面白いものがどんどん出来上がりそうな・・・(勝手な言い分です。)

実際に、風木さんも今まで沢山の方々と作品を創り上げてこられたのですが、ちょっと伺うだけでも、それぞれの作家さんとのやりとりのエピソードは尽きないようで・・・やっぱり普通の方とは、視点が違う!
(たっぷり聞いてみたい所ですね。)興味津々です。

この様に、絵本作家さんというお仕事は、最初のアイデアの段階から出来上がりまで、ずっと勝負どころは続くそうで、とってもやりがいがありそう!
また、画家さんとここまで真剣に向き合われているのが絵本作家さん。
こんな方が増えてくれるといいな・・・(なんて、また勝手な言い分です。)

さて、風木さんの頭の中には、次のアイデア、次の次のアイデア・・・
進行形のお仕事が沢山あるようですよ。
私達は、「これは絵本になる!」という瞬間まで楽しみに待つしかなさそうですね。

風木一人さん 最後に記念にぱちり。
長いお時間、ありがとうございました!!

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風木 一人【かぜきかずひと】

  • 1968年生まれ。主な絵本に『はっぱみかん』(絵・山口マオ/佼成出版社)、『ぷしゅ〜』(絵・石井聖岳/岩崎書店)、『かいじゅうじまのなつやすみ』(絵・早川純子/ポプラ社)、『ぼくはあやまらないぞ』(絵・カワシマミワコ /愛育社)、『たまごのカーラ』(絵・あべ弘士/小峰書店)などがある。『ながいながいへびのはなし』(絵・高畠純/小峰書店)はフランスと韓国でも翻訳出版。


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