好評のうちに終了した「おはぎちゃんレビュー大賞」、作者のやぎたみこさんの最新作が発売になりました。
- おにころちゃんとりゅうのはな
- 作:やぎたみこ
- 出版社:岩崎書店
鬼の子どものおにころちゃんが、竜の鼻を持って人間の村へ行きました。
竜の鼻の鼻息で、いろんなものをふくらませて遊んでいると、たき火の火が燃え広がってさあ大変!
絵本ナビ読者の為にサイン本を描きに来てくださったのです。
奥に積まれているのがサイン本の山!結構大変な作業なのです。
一冊一冊に、可愛らしいおにころちゃんの絵も描いてくださいました。
サイン描きが一段落したところで、おしゃべりを楽しみながら、最新作『おにころちゃんとりゅうのはな』についても少しお伺いしました。
やぎたみこさんの作品には、『おはぎちゃん』も含めて、可愛いけれど、何だか一風変わった生き物が登場します。
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※全作品通して読んでみると“やぎたみこワールド”にはまること必至ですよ!
『おにころちゃんとりゅうのはな』の主人公おにころちゃんは、雲の上に住むおにの子。
鬼の一家に代々つたわるという“竜の鼻”を持って人間の村にひとりで出かけていきます。
日常生活の中にふと訪れる不思議な世界を描いているものが多かった気がするのですが、今回は昔話風。今までとちょっと雰囲気が違う気がしますね。
「そうなんです。それは後になって気がついたんですけどね。」とやぎさん。
「最初は、雲の上に住んでいるおにの子の話を描こうという所からスタートして。雲の上だから重いものはいやなんじゃないかな、何でも軽くしてくれるものがあるといいな・・・と道具を考えたんです。」
そこでアイディアとして登場したのが竜。竜のつめ、いぶくろ、ひげなど色々考えたそうですが、結局“気体”が出てくるものを、ということで“竜の鼻”に決定したのだそうです。(はなみずも出ますしね!)
ふんふん、そういう風にいつもアイディアが固まっていくのですね。でも何だかやっぱり発想が独特です。
「今回は、この子の可愛さがポイントなんです。今までの作品“くうたん”とか“おはぎちゃん”とかって不気味ってよく言われるんですよね。可愛くかいているつもりなんですけどねぇ。可愛く描こうとして行き過ぎてしまうみたいで。」
いやいや、可愛いようでなんかヘン・・・これがやぎたみこ作品の最大の魅力だと個人的には思っています。
そういえば、『おはぎちゃん』の時の制作秘話として、登場するおはぎちゃんや家の間取りを実際に立体で作られて、それを見ながら制作されたと紹介されていましたね。今回もやはり何か作られたのでしょうか?
「葉っぱを膨らませるシーンがあるのですが、イメージがなかなかわかなくて。実際に膨らんだ葉っぱをお裁縫で立体的につくりましたね。」
余計に手間がかかりそうな気がするのですが!?
「悩んで手が止まっちゃうより、手を動かしている方がイメージがつかみやすいんですよね。構造も理解できますし。」
更に驚くのが、おにころちゃんが住んでいる家や庭などをダンボールや画用紙を使ってミニチュアサイズの模型を作成されたのだそう!
写真だと伝わりにくいのですが、その模型の写真をもとにラフを作成していきます。
部屋の間取りなどはかなり正確に、細かく描きこまれています。
「間取りをきちんと作っておけば、ひとつのものを色々な角度から描けるんです。想像で描く方が難しいと思うので。」
確かにやぎさんの作品に登場する部屋のシーンは、同じ部屋でも視点や構図が色々変わっていたり、他の部屋に何かがいる気配まで感じとることができたりして。もしかしたらここにも魅力の秘密が隠されているのかもしれませんね。
パースも完璧です。
このお庭も実際に作った模型の写真です。なんとなく・・・というのが落ち着かないのだそうです。
これらの資料を見せてくださいながら「これはさすがにやりすぎでしょう」と、担当の編集の方がぽつり(笑)。
手を動かしながら文章を考えたりするそうで、気がつくといつのまにかすごく凝ったものが出来上がってしまっているのだそうです。
物を作る事自体が、実は大好きなんですね。
「他の作家さんの分も、頼まれたら作ってあげたいくらいです(笑)。」
かなりマニアックな裏話をひとつ。
「実はここに出てくる家(おにころちゃんが地上で出会うおじいさんの家)はおはぎちゃんの家の構造(模型)と同じなんです。」
皆さん是非じっくり見比べてみてくださいね。
ちなみに『おはぎちゃん』の手作り賞品も、作るのが楽しくて仕方がなかったそうです!
次々と出てくるエピソードがどれも面白くて、あっという間に時間が経ってしまいました。
『おにころちゃんとりゅうのはな』で、また新しい側面を見せてくれたやぎたみこさん、
これからまたどんな世界を見せてくれるのか本当に楽しみですね
最後に記念にぱちり。
実はやぎさん、20代の息子さんと娘さんがいらっしゃるんですよ。この日一番の驚きでした・・・。