京都の古い町並みの中で風情たっぷりに佇む京町家。おもてで商い、奥で生活をする職住一体の空間です。江戸時代半ばには現在残る「町家」の形が整ったとされ、歴史のある建築様式ですが、保存の難しさからその数は年々減少していっているそうです。 そんな中、古いものを大切に使って生活している人たちもいます。 お店やギャラリー、宿泊施設として、古い建物が、古い良さを活かしながら、今もイキイキと存在しているのは、とても素敵なことですね。その魅力を後世へ伝え続けることにも繋がります。 けれど、お客さんとして町家を覗いても、なかなかその奥の構造や暮らしのことはわかりません。もっと町家のことを知りたいなあ、なんて考えていると・・・? どこからか「よう、おこしやす。」という可愛い声が。絵本の中の、「えびす小路」からのようですよ。なんと、この古い町並みが残る横丁の町家でカフェを営む二人、「福ねこさん」と「お豆さん」が、町家の中を案内してくれるというのです。これはまたとない機会!
この本は、町家の内部をじっくり描いた知識絵本。福ねこさんとお豆さんのおもてなしをうけながら、中を隅々まで見て回れます。 町家特有の、「はしりにわ」に「虫籠窓(むしこまど)」、「箱階段」に「前栽(ぜんざい)」。どんなものかわかりますか? なるほどなるほど、と間取り図と見比べながら、建物の構造を見ていくと、まるで本当に町家にお邪魔しているような感覚。細長い町家の入り口近くから奥を眺めたり、天井を見上げたり、とてもリアルな視界に驚きます。正確に描かれた景色から、町家の雰囲気をぐっと近くに感じます。 あちこち家の中を見学するうちに、長い歴史の中で培われた、日本人の生活の工夫や知恵に触れられるのが何より貴重に感じられます。歴史の中の町家だけでなく、町家がどのように現代の生活になじんでいるのかが分かるのもいいものです。 そして、巻末の「町家ものしり手帖」では、「町家のうつりかわり」や「格子でわかるお商売」などなど、さらに知識を増やすことができますよ。見返しには、福ねこさんお豆さんのご近所さん(これまた気になるキャラクターたち!)が描かれていますので、えびす小路の絵のページでも街並みの中の彼らを探してみてくださいね。
子どもも大人も「おこしやす」。「町家えほん」は、やわらかくあたたかい絵で私たちを迎えてくれます。 作者の山口珠瑛さんは京都在住で、構想から10年という歳月をかけてこの絵本を作られたそうです。京町家の保存に対する思いが込められた、町家と伝統文化への愛情あふれる一冊です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
おもてで商い、奥で生活をする和の住まい、京町家。「カフェ桜」を営む、福ねこさんとお豆さんが、町家を案内してくれます。奥に細長い町家ならではの、暮らしの工夫や知恵をみていきましょう。
みせの間から入り、だいどこ、奥の間を通ると、前栽(庭)があります。暑い日に、前栽と家の前に交互に打ち水をすると、風が通って、奥の間やだいどこが涼しくなります。土間のだいどこである、はしりにわは、天井が高く光が入ります。2階へ上がる階段は、箱階段で、長い物がしまえる収納スペースになっています。
巻末には「町家ものしり手帖」付き――町家のうつりかわり/格子でわかるお商売/はしりにわの工夫/夏の建具替え/町家の戸は変幻自在/町家の戸は、からくりじかけで防犯もばっちり!/家事でも守ってみせる!「蔵」 など
建物のパースを正確に描きつつも、町家のもつ風情を存分に表現した、子どもから大人まで楽しめる、ちしきえほんです。
京都出身なんですが、
こんなにくわしく町屋について
可愛く、楽しく、分かりやすく描いてくださってる絵本があるなんて
とっても嬉しいです☆
「作者の山口珠瑛さんは京都在住で、
構想から10年という歳月をかけてこの絵本を作られたそうです」
とあり、やっぱり、京都の方なんや!!と思いました☆
京都や町屋への愛が感じられる絵本です。
このえほんを読んで
京都について知ったり
子供にも
「京都には昔からこんな建物があって
建物のつくりにもいろんな歴史や理由があるんやで〜」
と教えてあげたいなぁと思います☆ (ふんわりうさぎさん 30代・ママ 女の子1歳)
|