真っ暗な倉庫の中、ひとりだけ起きているのは明日新しい場所に引っ越す予定のピアノ。管理人さんが最後にふたを閉めるのを忘れてしまったのです。 「ぼくね、ほんとうは汽車になりたかったんだ。」 暗い倉庫の中で、この子の思い描く夢の風景が広がっていきます。 お客を乗せて煙を吐き出し、夕暮れの丘を走り抜ける寝台列車の汽車。 「カンガルーになりたかったんだ。」 今度は野原を駆けまわりジャンプするカンガルー。そうかと思えば光を放つ勇者の剣、あるいは森の迷い子を導く小さな炎、それとも・・・。 セピア色の情感豊かな美しい絵が、ピアノの子の想像とともに次々と自由に変化していきます。そして思い出すのは、かつて自分が育ったあの森。そこは空気が冷たくて、霧のかかったしんとした世界で・・・。 そんなたくさんの夢と思い出を胸に、この子はまた新しいステージに立っているのです。
イメージがどこまでも続いていくかのようなこの物語、実はサンドアートによる初の絵本! 深い暗闇からきらめく光のつぶまで、その表現の幅広さに驚かされます。そして、ピアノの子のつぶやく歌をまるで音色が聞こえてくるような言葉で表現しているのは歌手の川本真琴さん。平成25年8月 「ハーモニーホールふくい」で開催された越のルビー音楽祭「お話とピアノで綴る『音の絵本』コンサート」で初演されたものをまとめた絵本なのだそうです。
音楽、朗読、アート、たくさんの楽しみと想いがつまっているこの絵本。新しい世界を体験してみてくださいね。サンドアートの実演、朗読、ピアノ演奏を収録したDVD付きです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
これまでにない、サンドアートを使った絵本が完成しました。
ピアノの「ぼく」を主人公に、絵柄にサンドアートを使用した、類を見ない絵本。 平成25年公益財団法人福井県文化振興事業団が福井ゆかりのアーティストを集結し 開催している「越のルビー音楽祭 お話とピアノで綴る『音の絵本』コンサート」にて講演された作品を絵本にまとめたものです。
ピアノの楽しさを広く伝えることを目的に、朗読と音楽とサンドアートを融合させた公演は大きな反響を呼びました。
サンドアートの実演、朗読、ピアノ演奏を収録したDVD付き。
ちょっとセピアがかった、まるで心の中のような、もやーっとした意味深な表紙と思ったのが第一印象でした。
絵の具でもない、色鉛筆でもない・・初めて見る色彩の絵本だと思ったら、それもそのはず。
サンドアートによる初の絵本です。
テレビでしか見たことのないサンドアートですが、これを実際に演じながら朗読されたと書いてあるのを見て、感激しました。私も生で見てみたい!と思いました。
最後のぼくね、ほんとうはね。
この続きは、読み手に投げかけられています。
ほんとうはね・・
この続きは一体何だったのでしょうね。
私は、やっぱり大勢の人の素敵なメロディーを奏で、輝かせてあげられるステージにいることではないかな。
みんなみんな大好きだけど、キラキラまぶしいステージも好きなんだ!
と・・そうあってほしいなと願います。 (Pocketさん 40代・ママ 女の子14歳、男の子10歳)
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