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伊豆の地に独り流された頼朝は、まだ10代前半の少年だった。地元の豪族にうとまれ、命を狙われる日々に、生きる希望も失いがちな頼朝のもとへ、ある日、意外な客が訪れる…かつて頼朝の命を不思議な方法でつなぎとめた笛の名手・草十郎と妻の舞姫糸世の運命もまた、この地に引き寄せられていたのだった。土地神である地底の竜と対峙し、伊豆の地に根を下ろしていく少年頼朝の姿を描く、荻原規子の待望の新作。
前作『風神秘抄』が出版されたのは10年前、読んだのも10年前。ということで、前作の内容はすっかり忘れ、自分の記憶力のいい加減さに少々(かなり?)淋しい思いをしながら読みましたが、面白かったです。こんな物語世界を紡ぎだせる作者の頭の中はどうなっているのか?と驚くばかりです。
「源頼朝」=「鎌倉幕府」という単語しか頭に思い浮かばない私でしたが、フィクションとはいえ このお話を読むことで、「源頼朝がかつて人として生きていたんだ」(当たり前なのですが)と感じることができました。河津三郎と和解し、今後友情が育まれそうな場面は微笑ましく、そこに一人の少年の姿を見ました。
そして今までは各地の神社の縁起や土地の伝承など、「適当な作り話?」と全く気にしていなかったのですが、もっと関心を持ちたいなと思うようになりました。歴史やファンタジーが好きな人におすすめです。 (なみ@えほんさん 50代・その他の方 )
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