「なぜ女の子は学校に行けないの?」 マララは、勇敢な女の子でした。 女の子に教育なんて必要ないという考えが根強いなかで、女の子が学校に通う権利を訴えつづけ、そしてある日、タリバンの兵士に撃たれてしまいます…。 一方、イクバルは、親の借金のかわりに絨毯工場に閉じこめられ、一日中働かせられました。 その後、児童労働に苦しむ子どもたちのために、声をあげました。銃弾に倒れる日まで…。
ジャネット・ウィンターさんは、正義のために勇気を出して声をあげたふたりの子どもたちに胸を打たれ、 それを世界に、とくに子どもたちに伝えるためにこのようなすばらしい絵本を作りました。 彼女は伝記や実際にあったことに基づいた絵本を多数手がけてきた方。 一方から読むとマララの物語、そして、絵本をひっくり返してもう一方から読むと、イクバルの物語が読めるようになっており、 ちょうど真ん中の見開きはマララとイクバルふたりが同じ画面にいて、互いに平和の象徴の凧をあげています。銃弾に倒れて亡くなったイクバルから、一命をとりとめ声をあげ続けるマララへとバトンが手渡されるような象徴的なシーン。 この凧は絵本のあちこちに小さく登場するので、探してみてくださいね。 マララの、そしてイクバルの、もっとも大事なメッセージが最小限の言葉で語られ、 幼い子どもたちにも、人々の幸せと平和のために、学校で学ぶこと、みなが平等に意見を言える権利があることが伝わる内容になっています。 イラストは、残酷すぎるということはなく、事実を簡潔にわかりやすく伝えています。 子どもたちに、世界で起っていることをいかに伝えるか考え抜かれたジャネットさん、そして編集者の力量を感じさせられます。 マララさんについては知っていたけれど、イクバルくんについては、 初めて知るという方も多いのではないでしょうか。 お子さんと一緒に、平和のこと、勉強することの大切さを静かに考えてみたい、そんなときにおすすめの心動かされる一冊です。
(長安さほ 編集者・ライター)
女の子が学校に通う権利を訴え、武装勢力に銃撃され、奇跡の回復を遂げたマララさん。4歳のときに12ドルの借金のために、絨毯工場で債務労働に従事させられることになったイクバルくん。10歳で解放されてからは、児童労働の不当性を世界中に訴え、12歳のときに射殺されました。パキスタンの勇敢なふたりの子どもたちは、何者も恐れず、不正に対して声をあげ続けました。美しい絵とシンプルで力強い言葉の絵本から、外の世界にはこんな現実があって、自ら行動した子どもたちがいたんだ…ということが日本の子どもたちにも伝わるのではないかと思われます。
おそれることなく立ち向かう勇気を…とは思っていてもなかなか行動には移すのは難しい。しかしパキスタンにはそれに立ち向かった子供達がいました。非常にわかりやすい言葉で書かれていますので、是非、読んで下さい。 (梅木水晶さん 30代・ママ 女の子3歳、男の子1歳)
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