「はるになったら、うちに あかちゃんが うまれるのよ。」
おかあさんがいくちゃんにおしえてくれました。 おねえさんになるのよ、と言われたいくちゃんは、得意な気持ちでいっぱい。 お友だちや園の先生に、あかちゃんがうまれることをおしえてあげます。
だけど……ちょっぴり(あかちゃん きらい)って思うことだってあります。 公園に行きたくても、おかあさんがすぐに一緒に行けないとき。 おばあちゃんのおみやげが、あかちゃんのものばかりだったとき。 でも、いくちゃんがちょっぴりわがままを言ったある日、おかあさんが救急車で運ばれてしまって……。
子どもにとってみれば、まだうまれていないあかちゃんのことは、よくわかりません。 ピンとこないし、まわりの大人たちだけうれしそう。 まだおねえさんじゃないのに、おねえさんにさせられているみたい……。 「あかちゃんがうまれるって ほんとに とってもたのしいの? すてきなの?」 いくちゃんは声に出して聞けたけど、口に出せない子もいるにちがいありません。
「ねぼすけスーザ」シリーズなどの著作がある広野多珂子さんが、いくちゃんのさまざまな表情を描きます。 矢部美智代さんは、子どもの気持ちだけでなく「女の人があかちゃんをうむこと」や「あかちゃんが無事にうまれてくること」の大変さや尊さをおしえてくれている気がします。
本書はいくちゃんの思いに寄り添いつつも、その心の成長を描きます。 (いくちゃんの正直な気持ちが、手書き文字で書かれてるのも素敵です。) 表紙には「あかちゃん、がんばれ!」と祈るいくちゃんのまっすぐなまなざし。 ちいさないのちの無事を、一緒に祈りたくなります。 だれもが皆こうして生まれてきたんですよね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
もうすぐお姉ちゃんになるいくちゃんは、うれしい反面、複雑な気持ちを抱えます。でもある日赤ちゃんが危険な状態と知って…。命の尊さを感じられる絵本です。
6歳長女が大好きな一冊。
我が家は図書館で借りることが殆どなのですが、これだけはどうしても欲しいということで、珍しく購入しました。
お母さんから赤ちゃんが生まれることを知らされたいくちゃん。
嬉しくて色んな人に教えるのですが、
その反面、時々赤ちゃんにやきもちをやいてしまういくちゃん。
ある日、ちょっと無理を言ってスーパーに行った帰りにお母さんが転倒し、病院に運ばれます。
わたしが無理にスーパーに行こうって言ったからだ、と自己嫌悪に陥るいくちゃん。
お母さんや赤ちゃんに心の中で、ごめんねごめんねと謝るのがとても健気でした。
最後は赤ちゃんも無事でいくちゃんも読者もほっ。すてきな結末でした。 (tori.madamさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子3歳)
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