数多い名作の中から、誰もが共感できる12の作品をセレクトした「ひきだしのなかの名作」シリーズ。 第4弾は、誰もが知っている名作「シンデレラ」です。
シャルル・ペロー版の原典に忠実な再話文を石津ちひろさんが、絵を幻想的で独特の世界観を表現する宇野亞喜良さんが描いています。
今作「シンデレラ」を読むと、記憶の中の「シンデレラ」のストーリーとは少し違った部分があるかもしれません。 シンデレラが2夜連続でお城の舞踏会へ行ったこと、そして、最後に継姉たちがシンデレラに謝るところなど。また、ラストで、シンデレラは姉たちを快く許してあげます。
グリム版のシンデレラは絵本にするには残酷な内容を含みますが、このシャルル・ペロー版の「シンデレラ」は、とても優雅で、世界中の少女を魅了し続けているのがよくわかります。
シリーズを監修する、昭和女子大名誉教授で児童文学者の西本鶏介さんは巻末でこう書いています。
― 「シンデレラ」は、世界の昔話の中でも、もっとも類話が多く、しかも人気のあるお話です。継子いじめの、つらいお話でありながら、どうしてこれほど広く読まれるのか、その理由はけなげなヒロインの生き方にあります。(中略)ままならぬ人生を考えるとき、この夢物語に心を動かされない人はいないでしょう。―
いろいろなバーションがあり、いろいろな解釈ができるのが名作の懐の大きさなのでしょうか。 きびしい試練に耐え、常に希望を持って人生に立ち向かった「シンデレラ」の物語は、今も人々を励まし、世界中の子どもも大人もを魅了し続けます。
(福田亜紀子 元絵本編集者)
いじわるな継母たちにいじめられながら暮らす、美しい心をもった少女シンデレラ。舞踏会に行けずひとり泣いていると、仙女が現れて奇跡を起こします…。世界中の少女を魅了する、ペローの美しい昔話。
「シンデレラ」、「灰かぶり」、「シンデレラ」と宇野亞喜良さんの描くシンデレラは三作目になります。
それぞれに文章が違うのですから、宇野さん自身のこだわりがあるのでしょうか。
サラ・ギブさんの「シンデレラ」と同時に読んだのですが、二人の個性の両極性も実感しました。
宇野さんの世界はとてもメロウで、何故か気になる世界でした。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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