1942年、アメリカ。 日系アメリカ人のマナミは、ワシントン州ベインブリッジ島で、家族と幸せに暮らしていた。 いつものように学校へ通い、友達と遊ぶ日々は、ある日突然変わってしまう。 家族で「強制立ち退き」しなければならなくなったのだ。
住みなれた土地から放され、愛犬とも別れる運命になったマナミは、ショックから声を失ってしまいます。 日系人収容所という場所でも、家族やまわりの人びととささえあい、希望を見いだしていきてゆく力強い物語です。
第2次世界大戦時の日系人強制収容というアメリカの歴史の一コマを切り取った児童書です。
著者は、当事者でなく、収容所近くで子供時代を過ごし、その時に感じたことや、後に見た写真等から引き出された思いを書き綴った集大成のようです。
物語のキーのなる、飼い犬の処遇。
それに伴い、声を出すことができなくなる主人公。
長いふせんののち、また同じシチュエーションとなった時にこぼれ出た言葉。
人の心は複雑で繊細だけれど
こんなにも強くてしなやかなのだとも思わせれました。
「強制収容は、アメリカの恥ずべき歴史の一つだが、
向き合わなくては新しい時代は来ない」との
訳者のあとがきが光ります。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子14歳)
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