眠る時間になり、女の子のルビーは、暗い階段をあがって寝室へ向かいます。 そのとき頭の中でぐるぐる回り出した、きみわるい歌……。 「きっと こんや くる くる キミワリーナが やってくる きみの いえに くる くる……」
街角で手回しオルガンのおじさんが歌っていた歌です。 ベッドに入ったあともルビーはなかなか眠れません。 ふいにまっくろい影が部屋をとおりぬけていったり、何かがすすけたえんとつをすーっとのぼっていったり……。
あるときは屋根の上でサムの耳元をかすめ、またあるときは図書室の本棚の向こうを走り抜ける。 公園の暗がりや、真夜中のベッドの上。町のあちこちでキミワリーナの目撃情報が上がり、人々はあやしい空気に眉をひそめます。 しかし、どうやら盗まれたものといえば、チーズ、本、ビスケットの缶詰、ハンカチ、ロープ、工具箱……!? いったいこれらが何の役に立つのでしょう?
ちょっと怖くてミステリアスな空気が、途中からキミワリーナの正体とともに、ガラッと変わっていく絵本。 薄暗い絵と、林木林さんの訳にすっかりだまされてしまいます! なんともかわいいキミワリーナの正体、そして不機嫌そうな手回しオルガンのおじさん、警察官ビッカーズの間抜けな下着姿(でも帽子はちゃんとかぶっているんですよ!)にクスッと笑いたくなりますよ。
「こわがらないで。このよには わたしたちの めに みえないものがある、それだけのことですから」 見えないものを想像するドキドキでいっぱいの、夜の絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
きっと こんや くる くる キミワリーナが やってくる きみの いえに くる くる きみの うしろを ついてくる…… サルをつれた手回しオルガンのおじさんが、気味わるい歌をうたいます。 町はあやしい雰囲気につつまれて、あちこちでキミワリーナの目撃情報が! キミワリーナは何者なのか。なぜ家々からいろんなものをぬすんでいくのか。 ちょっと怖くて、ミステリアスで、チャーミングな絵本。 林木林が雰囲気たっぷりに訳しています。
「キミワリーナって何?」と思い借りてみました。何だか正体がわからず、8歳次女とドキドキしながら読みましたが、最後は納得。なるほどー、そうだったんだと。
恐怖を感じながら読み始めましたが、最後は微笑ましかったです。怖いお話が苦手な子でも、これは大丈夫! (きーちゃんママさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子8歳)
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