ヘンな動物たちが七転八倒する傑作物語六話 1989年に「図書新聞」紙上で『動物図鑑』と題して連載されたもの。著者の死後に発見された未発表の作品も併せて初めての単行本が完成した。挿絵は連載時と同じ広瀬弦による描き下ろし全13点(モノクロ)を収録の中短篇で構成全作品の主人公は全て動物だが、あまりにもあまりにも人間的な動物ばかり。こんな作品は西欧ではイソップに代表されるように「寓話」とよばれる。もちろんそこには人間にとっての「教訓」もたっぷり含まれる。 こんなお話――ほんの一部ご紹介。 1「前の女? 前の女もあなたの耳かじったの」/「女のうさぎってそうするもんだろ。前の女のうさぎは、片方の耳全部食べたよ」/「前の女も、あなたのことゴリラとか、かえるとか言ったの?」/「前の女? 前の女は、ぼくのこと天使って言ってたよ。心配しなくてもいいんだよ。ぼくの耳、女のうさぎにあきるとまたすぐ生えてくるんだよ」 6「ええい、こんなもの」/狐のコン子はしっぽを床にたたきつけると根元からしっぽを引き抜いて窓にたたきつけた。/「この耳もいけないのよ。いつも何か面白いことないかってひくつかせていたんだもの」/コン子は両手でいっぺんに両耳を引き抜いた。/……あんた、もっともっと反省しなよ! メルヘンとファンタジーがブラックユーモアでつつまれた傑作動物物語、ついに登場!
面白く読み始めたら、哀愁を帯びてきて、しだいに辛くなる作品たちです。
動物の姿を借りた人々の人生劇場。
生々しいけれど、動物だから許せるところが素晴らしいです。
佐野洋子の遺作になるのでしょうか。
軽くかかれているようで、奥の深い物語でした。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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