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講談えほん 大岡越前 しばられ地蔵

講談えほん 大岡越前 しばられ地蔵

  • 絵本
作: 石崎 洋司 北村 裕花
監修: 神田 松之丞
出版社: 講談社 講談社の特集ページがあります!

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作品情報

発行日: 2019年11月28日
ISBN: 9784065172162

32ページ

みどころ

着物姿で舞台にあがって、話術で人をたのしませる、日本の伝統芸能。
史実を元にした物語で、後世に歴史を伝える、落語とは似て非なるしゃべりの芸術。

それが『講談』!

100年ぶりの講談ブームといわれる昨今、絵本でさらに親しみやすくなった、講談絵本が誕生しました!

ことの起こりは江戸、おおきな呉服屋で荷物の配達をしている、弥五郎という男の災難にあります。
なんとも暑い夏のさかり、おとくいさまに白木綿の生地を届けようと先を急ぐ弥五郎ですが、道中にへばり、木陰で一休みすることに。

「お地蔵さん、この荷物、よろしくたのんますで」

かたわらにたたずむお地蔵さんにそうたのんだ弥五郎。
それで安心してしまったのか、ぐっすり寝入ってしまいます。

はっと起きたときには、荷物はあとかたもなく消えていました。
主人から盗人の疑いまでかけられた弥五郎のかけこんだ先が、名奉行と名高い、かの大岡越前!

しかし話を聞いた大岡さま、とんでもないことを言い出します。

「地蔵尊が、たのまれた品が盗まれるのを、みすみす見すごした。どうやら、その地蔵、盗っ人と通じ、どろぼうかせぎをしておるな」

お地蔵様がどろぼうの仲間だなんて、そんなむちゃくちゃな!
しかし大岡さま、本当にそのお地蔵さまを縄でぐるぐるに捕らえ、裁きの場に連れ出しました。

とうぜんひと言も物をいわないお地蔵さまに、大岡さまはカンカンにご立腹!
そんな大岡さまのようすを見て、騒動を耳にして集まった大勢の町人たちが、思わず大笑いしてしまいます。

「この越前の詮議をあざ笑うとは不届きのしごく! かたっぱしから、召し捕れぃ!」

こんどは野次馬をみんな捕まえてしまった大岡さま。
いったいぜんたい、なんのつもり!?

著者は「黒魔女さんが通る‼︎」シリーズや『世界の果ての魔女学校』で知られる、児童文学作家の石崎洋司さん。
絵は、『ねこです。』や『こどもかいぎ』、『トンダばあさん』など、ユーモア絵本を多く手掛ける絵本作家の北村裕花さん。
表情豊かで愛嬌あふれる町人衆と、ひょうひょうとしたお地蔵さんのコントラストがなんともおかしく、かわいらしいです。

そして、
「この絵本を通じて、一人でも多くの子どもたちに講談を知ってもらえることを願っています」
とは、本書監修で講談ブーム火付け役の天才講談師、6代目神田伯山(神田松之丞)さん。

言葉のとおり本シリーズは、絵の力でより親しみやすくなっているのはもちろん、聴き慣れない言葉も漢字と振り仮名で読むことができ、わかりやすく講談の魅力をあじわうことができます。

名奉行であるはずの大岡越前が、まるでトンチンカンなことばかりしているおかしさと、一転してそのすべてが事件解決へとつながっていく痛快さが、みどころの一冊です。

(堀井拓馬  小説家)

出版社からの紹介

人気沸騰中、「チケットの取れない講談師」神田松之丞さんを監修に迎えた「講談えほん」シリーズ! 

「講談」とは、古くからの日本の伝統芸能です。講談師が、実在の人物や史実とされている事象を、脚色を交えて聴く人を楽しませつつ、一人語りで読んでいきます。日本の歴史の物語を次世代につなぐために、とても大事で、いま注目されている芸能です。このたび、次世代に伝えたい講談のお話を、絵本にして子どもたちに残すために、「講談えほんシリーズ」をつくりました。
いま、飛ぶ鳥を落とす勢いの講談師・神田松之丞氏を監修者に迎え、話題を呼ぶこと請け合いのシリーズが誕生です!

『大岡越前』では、無実の罪を着せられた荷担ぎの弥五郎を、越前守が見事なお裁きで救います。
文・石崎洋司氏、絵・北村裕花氏でお送りする、江戸の物語です。

ベストレビュー

よっ、名奉行!

江戸時代、日本橋室町にある呉服屋「越後屋」で働く配送担当者が、仕事中に商品を盗まれた。主人から嘘つき呼ばわりされ、弁償できないために自殺を考えていたが、親友に助けられ…

江戸時代の裁判の仕組みや、犯罪の取り締まり・刑罰などを知らなくても、語り部が適当に説明してくれるので安心。
真面目に働いている労働者が、理不尽な扱いを受けるあたりは、現代と同じ。パワハラという言葉は当時はなかったが。
勤務態度が極めて真面目な従業員を理解できなかった経営者は、見る目がなかったのか、それともここには描かれていないがそうとう嫌な目に遭ってきたのか…
描かれていない部分にも思いをめぐらしてしまう。

お地蔵さんが、実にいい仕事をしている。おそらく仏教界で最強なのはお地蔵さんだ、と個人的に思う。基本的にどこでもいるし、なんでもする。この話のように、身代わりにもなる。冤罪も引き受ける。人前で恥をかくのも平気だ。

なかなか人情味の溢れる、そしてとんちの効いた物語だ。
あまり書くとネタバレになるので、このへんで。
後は本書を読んでください。

巻末には実在した人物「大岡越前守忠相」と、しばられ地蔵が実際に祀られている「南蔵院」(東京都葛飾区)の解説もあり。
ためになる絵本だ。

余談だが、70年代からテレビ放送されていた「大岡越前」をご存知の方は、是非ともテーマ曲を思い出してから、ページを開いて欲しい。
2019年発行の大岡越前は、どんなテーマ曲が似合うだろうか?
(渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )

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