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家出をしてラーメンやさんの屋台にもぐりこんだおばけのソッチは、おじいさんからおいしいラーメンのつくり方をおそわります。
飴屋の階段に住んでいる少女おばけのソッチは、生意気盛りで自分のしたいようにしたい。ソッチがかわいくて仕方がないおばあさんは、あれこれソッチを注意するが、反抗しまくりで、ある日ケンカのはずみで家出してしまった。
近所のラーメン屋さんの屋台を「小さなおうち」といって勝手に潜り込んだのだが、主のおじいさんに見つかってしまったが、追い出されるどころか「商売のためになる」と、仕事を手伝うのを条件に住まわせてもらうことになった。さて、お客さんの反応は…
小生意気な少女の心の動きが生き生きと描かれ、周囲の大人たちの思惑や社会の人々との交流、生活することの大変さなどが、みじかいお話の中にきちんと描かれている。物語としてのおもしろさはもちろんだが、わき役たちの暮らしぶりやそれまでの人生も創造したくなる、温かい魅力のある作品。
人との交流や手作りのもの・サービスがどんどん少なくなっていく現代なので、昭和風の手作り感一杯の温かいサービスやおおらかさが新鮮で素敵だった。殺伐とした効率重視のビジネスではなく、関係者がみんなちょっとずつ幸せになれるように心を配るやり方が心に染みる。
寒くなってきたころ、温かい部屋でゆっくり楽しみたい一冊。
困ったことに、これを読むと、夜中でもなんでもラーメンが食べたくなるので、ダイエット中の人はご用心。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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