おじいちゃんと過ごした日々──それは、とっておきの時間。 みずほは小学五年生。二世帯住宅で暮らす大好きな祖父にがんの再発がわかった。しかし、祖父は「積極的な治療」はおこなわないという。なぜ? みずほはどうしても受け入れられない。 「『たとえ明日、世界が滅亡しようとも、今日わたしはりんごの木を植える』ということばを知ってるか?」祖父がみずほに語る。マルティン・ルターのことばだ。「明日世界がなくなるとわかってるのに、そんなむだなこと、なんでするの?」とみずほ。どうしても理解できない。 がんを身体にかかえながらも、大好きな絵を描き、庭仕事をして毎日をのびやかに暮らす祖父。そして祖父や家族と語り合う時間のなかで、みずほは「おじいちゃんの生き方」を見つめ……。「人間が生きること」そして「死ぬということ」を考える珠玉の物語。
がんに侵された祖父と、それを見守る孫娘の物語です。
ベッドにつながれて、したいこともできないような最後ではなく、
自分の思うように生きて満足して死にたいと願うおじいちゃん。
まだ小学生の孫娘は、手術もきつい薬も拒否するおじいちゃんが理解できません。
でも、少しずつ体調を崩していくおじいちゃんに寄り添いながら、
人としてどうあるべきかを学んでいきます。
この本の作者の大谷美和子さんは、
夫を1年前に亡くし、編集者から
「死は終わりではないということをテーマに書いてみませんか?」との提案を受け、この本の執筆を決めたそうです。
「人は死ぬのに、なぜ生きるのか」を考えるような子供だったという大谷さん。
その考え続けていたであろう言葉が、たくさん紡がれているように感じました。
おじいちゃんの、淡々と、でも、一瞬一瞬を尊びながら過ごす様子は、
とても美しかったです。
大切な人を見送ることが増えた年代にも
刺さる一冊だと思います。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子17歳)
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