
都会の白兎は何を食っているのか? オオカミ県出身の俺はネットの書きこみに自分たちを田舎者だという悪口を見つけ、東京へ出てきた……。苦みのきいたユーモアで現代社会を諷刺し、境界を超えていく物語。美しい銅版画絵で彩った、多和田葉子書き下ろし絵本。

なんとワイルドな、現代社会の風刺描写なのでしょう。
オオカミ県から来た純正のオオカミも、都市部ではウサギとして生きなければいけないらしいです。
しかし本物のウサギではないところに、ドロドロした歪みをうちに秘めて、得体のしれない構造を作り出すのでしょう。
淀みのような現代都市を揶揄した、大人テイストの絵本です。
溝上幾久子さんの挑戦的な版画アートが、物語を果てしなく重厚にしています。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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