ぼくはおさる。南の島に住んでいます。 ぼくの島は小さいけど、森があって、山や川もあって……みんなと仲良く暮らしています。 起きたらまずおしっこ、ごはん、けづくろい。 遊んで、夜になったら眠って……。
ある日、夢を見たおさるは、夢の中でも自分はおさるであることに気づきます。 そして、夢の夢の中でも……。
心地いい言葉のリズムの繰り返しで、だんだんどっちが夢で、どっちが現実なのかわからなくなってきます。 夢って不思議ですよね。夢の中で、自分じゃなく全く他の生き物になれることってあるんでしょうか。 たいてい、夢の中でも自分は自分。おさるはおさる。 一日の行動も、楽しいこともあまり変わらないみたい……。
ちょっぴり哲学的な楽しさがある、ひらがなだけで書かれた絵童話『おさるのゆめ』は、まさに、はじめてひとり読みをはじめる年長さんや小学1年生にぴったりです。
1991年『おさるのまいにち』刊行以来、愛されてきた、いとうひろしさんのロングセラーシリーズ。 本書は「おさる・どうわがいっぱい」シリーズの11作目に当たります。 ぜひみなさんもお気に入りの1冊を見つけてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
「おさるシリーズ」は1991年の『おさるのまいにち』以来、30年間にわたって親しまれてきたロングセラーです。 累計は36万部を超え、路傍の石幼少年文学賞、IBBYオナーリスト選出、産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞を受賞するなど、非常に高い評価を得てきました。 今回のテーマは「ゆめ」です。ゆめを見ているおさるは、ゆめの中でも夜になるとゆめを見て、さらにそのゆめの中でも夜になると……と、心地よいリズムで、お話が展開していきます。 ゆめと現実のちがいがあやふやになって、どきどきしながら、何度もたのしめる新作です。 やさしい表現で、深い思想にふれる、「おさる」シリーズの真骨頂です。
●主な内容 ぼくは おさるです。 みなみの しまに すんでいます。 ぼくの すむ しまは ちいさいけれど、 もりが あります。 (中略) よるに なったら、ねむります。 でも つぎの つぎの ひの おひさまが のぼる まえに ぼくは ゆめを みました。 (本文より) ※漢字は使用していません
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