つかいに出かけた男の子は道に迷ってしまい、泊めてもらった家で、小僧さんになりすまし、インチキなお経を唱えます。おじいさんとおばあさんは、でたらめなお経でも、それを信じ、一生懸命唱えたおかげで、泥棒を退治することができました。男の子の窮余の策のユーモアと無邪気に信じてお経をあげるおじいさんとおばあさんの素朴さが心に残ります。
民話の「おんちょろ経」がベースになっているとのことです。
民話というのは、地方によっていろいろにバリエーションがあって、それが楽しいのですが、この『おんちょろちょろ』を読んだ後に同じ梶山俊夫さんの『おんちょろきょう』を読んだら、同じ作者が違う人の文で別バージョンを手掛けるということに、ちょっと面白さを感じました。
違いその@ 『おんちょろきょう』では、おじいさんが死んでいました。
違いそのA 『おんちょろきょう』では、お経をとなえたのは寺のお小僧さんでした。
違いそのB 『おんちょろきょう』では、盗賊が二人でした。
と、話の詳細は異なってはいても、ベースが同じであることが判るので、2冊読み比べると面白さが倍増します。
かなり内容を異にした『おんちょろきょう』が後に出されたのには何か理由があるのでしょうか?
『おんちょろきょう』の方が、絵にも梶山カラーがより強く出ています。
子どもたちには『おんちょろきょう』の方が楽しいかも知れないと思いながら、この『おんちょろちょろ』が絶版であることを残念に思います。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子13歳)
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