「きょうは わたしの おかあさんの おはなしをします」……と女の子が語る形式の絵本。冬はよく雪が降り、寒い、北陸地方の富山県で育った女の子は、戦後の記憶がまだ残る昭和時代、学校の先生をしていたお母さんに厳しく育てられます。食べ物を残したりこぼしたりすると、ニワトリ小屋に入れられたり、悪いことをすると、オバケが出そうな古い蔵にとじ込められたり。
一方、お母さんもすごい人で、動物園でサルにメガネを取られたときは、自ら檻に入ってサルと格闘。傷だらけになって見事にメガネを取り返します……! (当時は、今よりメガネは貴重品だったのでしょう)
厳しいけれどかっこよくて、退任した今でも、かつての生徒にたちに慕われているお母さん。日頃は先生としてすごく忙しかったけど、毎年、お母さんの実家の旅館を一緒に手伝う夏休みは、きっと、愛情深く頼りになるお母さんの姿を再確認する幸せな時間だったのではないでしょうか。
女の子の名前は、柴田理恵さん。劇団「ワハハ本舗」立ち上げメンバーの1人で、TVのバラエティ番組などでも、親しみやすいキャラクターで人気の役者さんです。そんな柴田さんが、お母さんと自分の子ども時代を書いています。 絵は『やきざかなののろい』(ポプラ社)で第6回リブロ絵本大賞・第9回ようちえん絵本大賞を受賞するなど注目される塚本やすしさん。とにかくパワフルな親子の姿に圧倒されます。
お母さんに叱られて落ち込んでいる子が、この絵本に出会って、こっそり「うちのお母さんのほうがまだやさしいかも……」と思えればいいのかもしれません(笑)。でもわかりやすい厳しさより、愛情がしっかり伝わっていたことは、女の子の表情を見ればわかります。お母さんだって最初からベテランじゃないし、精一杯格闘しながらお母さんになっていくのでしょう。がむしゃらにがんばっているお母さんと、一緒にがんばっている子どもにエールを送りたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ワハハ本舗の柴田理恵さんの初めての絵本です。 絵は絵本作品多数の塚本やすしさん。 柴田理恵さんのお母さんのしつけが物語になっています。 昭和の時代のお母さん。あの頃のしつけは? パワフルな絵と共に贈るお母さん絵本です。
私は現在、ある大手芸能プロダクションにタレントとして所属していますが、40代の頃、あるテレビドラマの撮影現場で柴田理恵さんとご一緒させて頂いたことがあります。だからこの本は興味深く読ませて頂きました。これはひじょうに優しい気持ちにさせてくれます。柴田理恵さんは礼儀正しい、素晴らしい方でしたが、この本を読ませて頂いて、お母様もほんとに素晴らしいと思いました。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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