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春のおわりに、ラッコのぼうやに招待状がとどいた。それは、北極いちばんの手品師、ポーラマンからだった……。 アラスカ沖・アリューシャンでくりひろげられる、ポーラマンのマジックをごらんあれ!
「ある年の終わり、私はカムチャツカ半島からアリューシャンをめざしていた。 この時期、北太平洋海域にはプランクトンが大発生し、生き物たちがそれをねらって、地球上から集まってくる。 それはあたかも、マジシャンがくりひろげるマジックショーだ。 私は旅人だ。旅は地球のふしぎを教えてくれる。わかい人たちにも、それを体験してほしい。」 あべ弘士より
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手元に世界地図があれば、まず広げてみよう。
あべ弘士さんの絵本『アリューシャン・マジック』のタイトルにもある
アリューシャンがどのあたりにあるか、
探してみよう。
見つかったかな。
アラスカ半島からロシアのカムチャッカ半島にかけて連なる
約1930キロメートルにわたって延びる弧状の列島が
アリューシャン列島と呼ばれています。
そこでマジックショーがありのでどうぞ、という招待状が
ラッコのぼうやに届きます。
この絵本で、そのマジックショーが楽しめるのです。
といっても、ここでのマジックは
自然界の生き物や気候が見せるなんとも不思議な光景。
まずは、山の山腹に残る雪の模様が怪しげ。
そのどれもが、まるで生きているかのよう。
次には大ダコやクジラの乱舞。
鳥たちの羽ばたきも波のしぶきも、山々のこだまする風の音も
まるですべてが魔法のよう。
それは、生き物たちの息吹。地球の鼓動。
ほとんど文章のない絵本ですが、
あべさんの絵はなんともおしゃべり。
たくさんのお話が聞こえてくるよう。
そんな不思議な絵本、そう、これこそマジック。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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