遠い北の国で、雪の中を一人ぼっちで歩いているのはまっ白なこぎつね。お腹がぺこぺこなので、今夜のごはんを見つけなくてはならないのです。するとこぎつねは、雪の下に小さなあかりを見つけます。すいよせられるように掘っていくと…
「おや? ひっかかってしまったのかい?」
こぎつねを助けてくれたのは、まるまる太ったおじいさん。優しくだっこしてくれたので、こぎつねは怖がることなく、そのままごはんをいただき、一緒に眠りについたのです。
季節はめぐり、そのままおじいさんの家で過ごすこぎつねは、毎日忙しそうに働くその様子を見守っています。たくさんのおもちゃをつくったり、空から降ってくる手紙を整理したり、大きな袋におもちゃをつめていったり。何をしているのでしょう。やがて夜空にオーロラがあらわれるようになった頃、8頭のトナカイがやってきて……。
「おまえも いっしょにくるかい?」
小さなこぎつねに訪れた特別な夜、忘れられないクリスマス。その美しい出来事を、優しく丁寧に描き出したこの物語。『山はしっている』(鈴木出版)でも印象的だったリチャード・ジョーンズによる、愛らしくもきらびやかな絵によって、うっとりとしたその喜びが伝わってきます。サンタクロースの懐の深さやあたたかさが存分に味わえる、クリスマスの絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ここは、とおい きたのくに。 おなかをすかせた ひとりぼっちのこぎつねを たすけてくれたのは、やさしいおじいさん。 きせつはめぐり、こぎつねが おじいさんといっしょにむかえた はじめてのクリスマス。 それは、わすれられない とくべつなクリスマスとなったのです。
読んでいて心が温かくなる素敵なクリスマスのお話でした。
断片的にしか描かれていませんでしたが、こぎつねとおじいさんが過ごす時間に、二人の温かい交流を感じることができました。こぎつねとおじいさんは、クリスマスが終わってもずっと一緒にいてもらいたいです。 (さくらっこママさん 40代・ママ 女の子8歳、男の子5歳)
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