戦争ってなぜ起きてしまうの? 戦争をなくすことはできないの? と誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。本書は、イギリスで活躍する児童文学作家アンナ・クレイボーンによる、図解絵本。世界各地で絶え間なく起きている戦争や紛争の背景、問題点を、ひとつひとつ紐解き、整理していきます。たとえば、国や集団は何をめぐって争うのか。戦争を望むのは誰で、引き金はどのように引かれるのか。紛争解決の合意はどのように行われるのか……。
みどころは、実際に起きた様々な事例。“世界平和度指数”の高いアイスランドで、何世紀も戦争がない理由は? 北アイルランドを巡る紛争で有名な1998年“聖金曜日の合意”はどのようになされた? ルワンダの虐殺後、ツチ族とフツ族同士がどのように平和への努力をしたか、など。
イラストや写真で、それぞれテーマごとにコンパクトにまとめられ、学校などで思考プロセスを共有したり、子どもがひとりで読み進めて大人と話し合ったりするのにちょうどいい分量です。難しい漢字には「読みがな」もふられています。戦争や平和を論理的にとらえるきっかけになりそう。
今、地球上で起きているさまざまな問題を考える「プラネット・シリーズ」の6冊目。混迷の時代、子どもに自力で考える力をつけていってほしい。そんな願いを持つ大人にこそ、ぜひ一度手に取ってほしいシリーズです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
今、地球上で起きているさまざまな問題を考える「プラネット・シリーズ」の最新作。日本に住む私たちは、戦後80年近く幸いにも戦争をすることなく過ごしてきました。しかし、世界では絶えず戦争が引き起こされています。なぜ戦争が起きてしまうのか? 戦争や紛争の背景にある原因を解き明かし、解決困難に見えた紛争でさえ平和が達成された事例を調べ、もっと平和な世界をつくるために私たちができることを考える絵本です。
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