広い砂漠の真ん中で、お腹がすいて動けなくなっている旅人がいます。その時、西の空から大きな鳥のような人が近づいてきます。そして、その不思議な人は言うのです。
「さあ、ぼくの かおを たべなさい」
旅人は驚き、それでも彼の言うままにおそるおそる頭にかじりついてみると……そのおいしいこと! あっという間に半分食べてしまいました。
「さようなら、がんばれよー」
顔が半分になっても笑顔でさっそうと飛びだっていく、その人の名前は「あんぱんまん」。困っている人やお腹をすかしている人がいると、どこからか飛んできて顔を食べさせてくれる正義のヒーローです。森の中で迷子になった子どもに残りの半分の顔を食べさせてあげると、もう彼には顔がありません。このままで人を救えるのでしょうか。
でも、大丈夫。パンづくりのおじさんが新しい頭をすぐに作ってくれます。おや、新しくなった頭は前よりも少しふっくらしていて……そう、私たちの良く知っているあの「あんぱんまん」の姿です。
今や誰もが知っている、子どもたちの憧れるヒーロー「アンパンマン」。初めて絵本に登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。2023年には誕生50周年を迎える記念として、さらに長く読み続けられるよう、原点となるこの絵本が新しくよみがえりました。
「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。」(巻末に掲載されている、1973年当時のあとがきの言葉より抜粋)というのは、作者であるやなせたかしさんの言葉。
50年の時を越え、あんぱんまんの存在、そしてその行動は、今の私たちの目にどう映るのでしょう。親子で一緒に楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
困っている人やお腹を空かしている人がいると、どこからか飛んできて顔を食べさせてくれる。アンパンマン絵本の始まりであり、正義のヒーローの原点を描いた不朽の名作です。 ーーー アンパンマンが初めて絵本で登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。 その後、多くの絵本が生まれ、世界を広げていきます。 絵本『あんぱんまん』誕生50周年を記念し、未来に向けて長く読み続けていただけるよう、アンパンマンの原点となる絵本たちが新しくよみがえります。
アニメのあんぱんまんと違って,実に味わいのある絵でした。
1981年初版の絵本だけあって昭和を感じさせる絵で落ち着いて読むことができました。
現在4歳の娘が3歳の時に読み聞かせましたが,アニメや玩具であんぱんまんを知っている娘ですが,この絵本の絵にも違和感を持つことなく聞き入って見入っていました!
自己犠牲をしてまでも困っている人たちを助けるあんぱんまん,やなせたかしさんの優しさが伝わってくるお話でした☆ (まゆみんみんさん 30代・ママ 女の子4歳)
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