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白血病の11歳の男の子サムの日記。からっとかわいた筆致でぐっと読ませ、深い味わいにイギリスで大きな話題をよんだ一冊。
白血病にかかった11歳の少年サムが死ぬまでの物語です。
このように書いてしまうと、主人公をばっさり切り捨ててしまうように感じられるかもしれませんが、サムは自分自身を正面から見つめ、自分が死ぬまでを、日記のように、自分の物語として綴っていきます。
皆がサムのように死を受け入れることができるかどうか、私にはわかりません。少なくとも、周りにいる両親、妹よりも冷静にサムは自分を把握しているように感じられました。
だからでしょうか、読者も本を読み進めながら、サムの死を自然と受け入れていくように思います。
ところどころに挿し込まれる、手書きの文字、死ぬまでにやることが書いてある切り取ったメモ帖、<だれにも答えてもらえない質問>が書かれたカード、父さんや妹が描いた絵、お見舞いのポストカード……。このような何気ない資料とともに、サムの物語は書かれています。
この本の最後に示されている、最後の場面のリストの味気なさと、その次のページに生き生きと書かれた「リスト11 ぼくが死んだら、してほしいこと」との差の大きさに、読者はサムの死を実感するでしょう。
約320ページに及ぶ厚い本です。小学校高学年〜が適当だと思います。 (はしのさん 40代・パパ 男の子14歳、女の子12歳)
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