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『デフ・ヴォイス?法廷の手話通訳士』で話題をさらった丸山正樹氏、初めての児童書『水まきジイサンと図書館の王女さま』に続く第2弾。 コーダである手話通訳士の再婚相手の子ども、美和が主人公。美和の仲良しの英知は、前作最後で引っ越し、転校してしまった。場面緘黙症の英知とは手話で会話をしていた美和は、転校後は手紙でやりとりを始める。美和には妹ができ、ほんとうのお父さんではないアラチャンをなんと呼べばいいか考えているうちに、いろいろと悩み始める。一方いつもいく床屋さんで止まったままの大きな掛け時計が気になり、英知との手紙のやりとりのなか、全てが微妙にからみあっていく。手話でのコミュニケーションの重要性への理解も深まり、子どもたちに向けて知ってほしいテーマがさりげなく盛り込まれた作品。巻末に手話の説明付き。
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家族とはなにか、を子供なりの視点で考えさせる要素が出てきて、新鮮です。
アラチャンは、実父ではないけれど大切な家族。では、本当のお父さんの存在は?
ドラマの方で、離婚の原因を知っているだけにあの青鬼ってのは、本当に罪深いやつだと不快に感じる。
一方で、転校してしまった英知と手紙でやりとりできるようになる展開がまた秀逸。
学校でもタブレットを使って学習するこのデジタル時代に手紙か…という感じでしたが、そういうことも含めて多様性を表した作品ということなのでしょう。 (だっこらっこさん 40代・せんせい 女の子9歳)
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