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山に暮らす「ぼく」が、四季を通して家の回りでの鳥たちの巣作りや子育てを絵日記風に綴った、鳥の巣の不思議に心うたれる絵本。
「山のなかにくらして20年がたちました。」
これは、2005年に刊行されたこの絵本の「あとがき」の冒頭の文章です。
1952年東京に生まれた鈴木まもるさんは、1986年に伊豆の山の中に引っ越します。そこを起点にして絵本作家としての活動をしてきました。
同時に山の自然と触れあう中で鳥の生態やその巣の形状などに関心を持つようになり、この絵本が誕生しました。
この作品で講談社出版文化賞絵本賞を受賞しただけでなく、広く鳥の巣研究者として名前が知られるようになりました。
この絵本は山の中の一軒のおうちが左のページの真ん中に描かれています。
その構造は同じで、その家を囲んで山であったり近くの木々であったり家の前の畑で育てられている野菜であったりが四季折々の変化を見せてくれます。
そして、右のページにはそんな風景に訪ねてくる鳥たちの様子が描かれています。
ホオジロ、ヤマガラ、メジロ、ツグミ、ウグイス、ヒヨドリ…。
鳥たちのさまざまな様子がわかります。
春から夏にかけて、鳥たちは巣作りを始めます。
高い木の枝に作るもの、草原のなかに作るもの、川の護岸のすきまに作るもの、鳥たちの種類によって違います。
巣作りの材料も、枝であったり苔であったり動物の毛であったりさまざまです。
それらを鈴木さんは丁寧に描いています。
鈴木さんはあるインタビューで「絵本づくりも鳥の巣も、小さな命の心が育つという点では、同じものなんだ」と語っています。
そんな鈴木さんだから描けた「絵日記」です。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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