フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ14巻は、 アンデルセンによる悲しくも美しい愛の物語『すずの兵隊』。
一本足のすずの兵隊は、同じおもちゃの部屋の美しいバレリーナを深く愛していました。 ところがある日、風にとばされて窓から落ちてしまったのです。 子ども部屋からかけ離れた暗い運河にしずみそうになっても、 「せめてもう一度あのバレリーナに会いたい」と せつに願ったすずの兵隊は、不思議な運命に導かれて…。
兵隊の一途の想いはバレリーナに伝わるのでしょうか? 石津ちひろさんの静かで凛とした語りに、宇野亞喜良さんによるイラストが添えられた贅沢なコラボレーションの本作。 宇野亞喜良さんらしい大胆でモダンな表現をたっぷり楽しめる一冊です。 バレリーナは、まるでフランス映画のヒロインのように魅力的。 ちょっと大人の雰囲気で、この物語をどうぞお楽しみください。
(長安さほ 編集者・ライター)
「童話は哲学書である」ともいわれるように、アンデルセンの童話には人生や愛することの哀しみや喜びや諦念が つづられています。その中には、子どもにしか気づけない感覚、大人になって経験や痛みを知った者が知る真実、 その両方が奥深く隠されていることに気づきます。自分の意思とは関係なくふりかかってくる運命にはひたすら 身をゆだねてゆくしかない一本足の兵隊。想いと偶然が重なったバレリーナとの愛が結ばれるラストシーン……。 石津ちひろさんの端正で凛とした文章と、宇野亜喜良さんの描くこの美しい物語世界が、子どもたちの中に そっと息づいてくれますように。
不思議な運命で、ようやく巡り会えたふたりなのに…
言葉も交わさないまま、このようなラストになるとは思いませんでした。
大人向けの、悲恋の物語だと感じましたが、
子どもの頃に読んだ「にんぎょひめ」も、いまだに心に残っているので、お子さんが読んだ場合でも、なにかをかんじとるのではないかな、と思いました。 (なーお00さん 30代・その他の方 )
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