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イノシシのどう猛さ,ウリンボの愛くるしさやこっけいさ,畑あらしになやむ村びととのかけひきなど,イノシシの物語12話を収録。
動物たちを題材に、数多くの物語を書いた椋鳩十のイノシシ編。
細かい観察や調査に裏付けられていることがよく分かります。
今では希少に思えるイノシシも、昔は人間と共存していたのです。
12編の物語を通して、イノシシの荒々しさ、子どもを思う親心、人間に対抗する知恵深さなど、イノシシについていろいろなことを学びました。
特に最後の話では、エサとなる木の実を得られず、山に居場所を失ったイノシシと禁猟区に暮らす村人たちの、農作物をめぐる戦いが近代日本の開発史を描いて興味深い内容です。
この話は、終結することなく堂々巡りのまま話が終わります。
イノシシとともにいる限り、終わらないテーマであると感じました。
自然破壊、環境の変化、悪天候…。
居場所、餌を失って時折町に出没する動物たち。
決して昔話ではないですね。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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