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三重苦を克服し、たくましく生きたヘレンが、自分の生涯をしずかにふりかえった自伝。そこには、サリバン先生の厳しい愛に支えられ、想像を絶する苦難をのりこえたヘレンの、人間賛歌がみちあふれている。
【内容】
アメリカで生まれたヘレン・ケラーの、生い立ちから大学時代までの自伝。1才の時に、病気で目が見えなくなり、耳も聞こえなくなる。その後、家庭教師のサリバン先生とであい、言葉を知り、積極的に活動していく少女時代。
巻末には、ヘレン・ケラーの人生の主な出来事を表した年表、サリバン先生の過去について、ヘレンの人生に大きな影響を与えた人など紹介も収録。
挿絵:柳 柊二(やなぎしゅうじ)
【感想】
「三重苦」の奇跡の人として有名な人物。一度は伝記などを読んでみたいと思っていたが、まさか「自伝」があるとは知らなかった。本人が書いただけに、実に生き生きとして、心に迫る。挿絵も、臨場感あふれるクラッシックな作風。古い映画を見ているような、不思議な豪華な感じがした。
ヘレンは、けっこうやんちゃな人で、積極的にいろんなものに挑戦したり、自己主張をしたりする。「偉人伝」というと、教科書に載っているようなお堅い印象をもつが、実際は、一人の当たり前の人間であり、ワガママを言ったり、上手くいかなくて落ち込んだり、いろいろあったことが分かって、親近感を持った。
ヘレンもすごいが、サリバン先生もすごい。彼女は元・ヤンキー(問題児)。最初からやさしく忍耐強い”先生”などではなく、何もうまくいかなくて、世の中を呪ってぐれているような少女だった。この人が更正していき、最終的には質素で、地味な努力を延々と続けていく人生を歩み続けたという事実に、感動した。(次は、サリバン先生の伝記、かのうであれば自伝を読んでみたい)
まさに、人に歴史あり、だ。
巻末には、ヘレンと交流のあったグラハム・ベルや、マーク・トゥエイン、日本で盲人のために尽くした岩橋武夫など、同時代を生きた偉人たちの紹介があり、背景理解に役立った。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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