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15歳の少年コールが引きおこした傷害事件。 傷ついたすべてのもののために、コールと被害者ピーター、それぞれの両親、そして同じ地域に暮らす人たちが集まって「サークル・ジャスティス」が開かれる……。自らの過ちによって傷つけてしまったものとつながるために、変わろうとするコールの姿を追いながら、犯罪とどう向き合うべきか見つめなおす意欲作。
この作品を読み終えてすぐに同じ作者の『ピーティ』を読み始めました。
同じ作者なのに、訳者が違うせいなのか?題材があまりに違いすぎるためなのか?
同じ作者の作品とはどうも思えなくてその気持ちがどうしたなのか?を私自身が探るために書いています。
読まれたことのない方にはわかににくい表現だと思いますが、この『スピリットベアにふれた島』が暗く閉ざされた冬の印象、
『ピーティ』の方は障害を持った育ちでありながら、春の日差しの暖かさを感じるのでするのです。
『スピリットペアにふれた島』は、暴行事件を起こした15歳のコール少年が、サークル・ジャステスという手続きよって、無人島で生活を始めたところから書いています。
本当の意味での更生とは?をまず考えました。
裁きで、被害者あるいは加害者のどちらが悪いということを決定して、刑罰を決める従来の方法では犯罪の再発率は高いでしょう。
人が生まれ変わるには、一度死ぬような体験をしなくてはならないのではないか?
読みながらそんなことも思いました。
コール少年がスピリットペアに戦いを挑む場面などは、とても痛々しくて、どうか早くこの少年を誰かしっかりした大人が助けてほしいと願わずにはいられませんでした。
コールに教えを説くエドウィンとガーヴィの存在もまたいいのです。
『ピーティ』の方は、昨年読まれた方は、昨年のベスト1に上げられていて、
『スピリットペアにふれた島』の方を今年読まれた方は昨年読んだ本のおすすめリストに入れたかったとの声を聞きました。
どちらも長いけれど、ぐいぐい引きつけられる作品です。
骨太で重厚、しっかりした構成力と文章力を感じます。
さて、また『スピリット…』の方に戻りますが、
怒りの感情は捨てられないのか?その気持ち共存して生きていくには?
赦しとは?赦すとは?
といろいろな角度から自分自身に問いかけながら読み進めていった気がしています。
気になる言葉が出てくると、私は付箋を貼る癖があるのですが、この本も付箋だらけとなりました。
海外YAを読んでいくのが今年の目標ですが、その最初からこのような作品を読んで、
海外YAは読み始めたらきっと奥が深いだろうなと思いました。
ベン・マイケルセン、他にも作品があれば続けて読んでいきたい作家となりました。
(はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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