あの日、三輪車とともに一人の少年が原爆にたおれた。戦後四十年、赤さびた三輪車が語るヒロシマ。
伸ちゃんがねだってねだってやっと手に入れた三輪車は、おじさんのおフルでした。
戦争で使う武器のためにお寺の鐘も供出しなければならなかった時代です。
それなのに、手に三輪車で遊んでいるときに原爆が投下されました。
広島には、なんと多くの悲劇が残されていることでしょう。
助けだせた人、見捨てざるを得なかった人、運命というのには残酷なことだけれど、これが現実であることを大人は戦争体験はないまでも、多くの災害や悲劇を通して知っています。
子どもに伝えられるのは哀しさの中にある命の大切さでしょうか。
伸ちゃんと君ちゃんは一緒に埋葬されました。
仲良しの二人が手をつなぐようにして埋葬されたこと、笑い顔に似たお地蔵さんが二人を供養していてくれること、この絵本は多くの象徴を散りばめています。
一つ一つがメッセージとして伝わってくる絵本でした。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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