「これ もっていき」と男の子に声をかけて登場する人(もの)たちと、どんどんエスカレートしていく「もっていくもの」が、読者をハラハラワクワクさせます。 真夏の畑や草むらや空が、伊藤秀男さんの素晴らしい色彩で表現され、主人公の男の子と一緒に夏の午後を一気に走り抜ける爽快感のある絵本です。 おかあさんにおつかいを頼まれ、やおやさんでトウモロコシを買っての帰り道。 「これ もっていき」と、いろいろな人に声をかけられます。 畑できゅうりを渡してくれた農家のおじちゃん。また少し行くと、庭先からトマトを渡してくれた近所のおばあちゃん。つぎに声をかけてきたのは、なんとお地蔵さま。その次は空の上から声がして……。
「ひろくん、これ、もっていき」って、畑からおっちゃんが胡瓜6本と
「ひろくん、これ、もっていき」って、おばあちゃんが真っ赤なトマト
をくれる親切で温かい人間関係がいいなあって、羨ましくなって読みま
した。とても綺麗に描かれた絵にも惹かれました。
お地蔵さんまで、お饅頭を、「これ、もっていき」には笑えましたが、
村全体がそういう雰囲気なんだと思うと嬉しくなった絵本でした。
傘を持って声をかけてくれたゆうくんにも、お友達っていいなあって
思いました。とても爽やかな気持ちになれる絵本でした。裏表紙のみか
んゼリーや水ようかんにも笑えて和みました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
|