画集の様な豪華で美しい装丁の表紙に描かれているのは、 いきいきとした線が踊るねこ2ひき。 この大胆で贅沢な感じに胸を躍らせて中を開けば、 白いねこと黒いねこの2匹が画面狭しと遊びまわっているのです。 草むらで戯れたり、泥んこになったり、時には他のねことケンカして血だらけになったり・・・。 その動きや表情の豊かなこと。そして、黒一色でシンプルに描かれた画面の中に大胆に乗せられた色の鮮やかなこと・・・! お話は、しろねこばかりが誉められて、すっかり自分の容姿に自信をなくしてしまったくろねこの繊細な心の動きがつづられます。少ない言葉の中で、突然に咲く一面の花。その美しさ、表現の力強さに一瞬言葉を失ってしまいます。 作者のきくちちきさんは、この作品が、同時期に刊行された『やまねこのおはなし』(イースト・プレス)と合わせてデビュー作。今後活躍されるであろう彼の、早くも代表作になるような予感がしてしまうのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
しろねことくろねこはいつも一緒。皆からしろねこばかりが綺麗と誉められ、くろねこは自分の容姿に自信をなくしてしまい、しろねこから離れていってしまうのですが… 二匹のねこの感情の移ろいを、躍動感のある筆致で生き生きと描いた美しい絵本。
この絵本に出会ったのは、絵本好き仲間が全国から結集した3月のこと。
その後、高円寺の「えほんやるすばんするかいしゃ」で原画展を見て、きくちちきさんご本人にも会い、ますますその伸びやかな筆致に惹かれました。
そして世界もそれを認めたのですね。
ブラティスラヴァ世界絵本原画展で金のりんご賞を受賞としたのニュース。
素直で優しい気持ちになれる絵本です。小さな子どもも大人も楽しめる美しくもやさしい絵本です。 (若葉みどりさん 50代・ママ 男の子16歳)
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