「だじゃれどうぶつ図鑑」なんて題名を聞くと、コミカルなイラストの表紙を想像しますが、この本の表紙に描かれているのは、細かく写実的に描かれた、躍動感溢れる野生動物の数々。そう、この絵は『どうぶつのおやこ』(福音館書店刊)や『冒険者たち』(岩波書店)などの作品の絵で知られる動物画家、薮内正幸さんが描いているのです。ページを開くと、左のページに本物の動物の絵、右のページにはその動物の名前から創り出された「だじゃれどうぶつ」が描かれています。例えば、「アフリカジャコウネコ」に対して「ありか!?蛇口猫」。ええーっ、なんでしょう、この落差。この脱力感。この可笑しさ。本物の動物のイラストが素晴らしいからこそ、だじゃれどうぶつの可笑しさが冴えるのです。そのだじゃれどうぶつも、実に味のあるイラストで描かれています。この図鑑に収録されているのは43種類のほ乳類や鳥類の絵と、43種類の「だじゃれどうぶつ」。薮内正幸さんは2000年に他界されましたが、藪内正幸美術館には生前に描き残した「おふざけ」な絵が「裏ヤブ作品」としてファイルされているそうです。この「だじゃれどうぶつ図鑑」は、そんな「裏ヤブ作品」に、絵本作家のスギヤマカナヨさんが解説の文章を付ける形で出版されたものです。見返しには、読者がオリジナルのだじゃれどうぶつを描き込めるようになっており、自分だけの「だじゃれどうぶつ図鑑」が完成します。一風変わった「図鑑」を、ご家庭でもお楽しみください。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
薮内正幸のいたずら描きから生まれた本
ライオンやシマフクロウなど本物の動物43種がだじゃれどうぶつに変身! 動物画家が描いたまぼろしの絵が1冊の本になりました。
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