見事なまでに美しくチョウの世界を描いた絵本が登場しました。 野原をゆらゆらとチョウが舞う風景は、のどかでうららかな春の象徴。 でも実際に捕まえたり、昆虫図鑑の拡大されたリアルなチョウを見たりするのは、ちょっと抵抗があるという人、結構多いのでは(特に女性に)。 そんな虫やチョウが苦手という方でも、この本を開いた瞬間「きれい!」。 思わず感嘆してしまうのではないでしょうか。
この本の魅力は、作者ダイアナ・アストンのチョウへのまなざし。 葉っぱの裏に産みつけられた卵。雨や敵の目から身を守り、はらぺこの幼虫が孵化(ふか)して姿を現すチョウを「がまんづよい」。 何度も脱皮しながら大きくなり、やがてサナギから成虫と全く違う姿に変わっていく様子をチョウが「へんしんする」。 花から花へと飛び回り、花粉を運んで植物の受粉を助けていくチョウって、「やくにたつ」。 擬人化したことばたちが昆虫と人という本来の境界線を取り払ってくれて、私たちをチョウの世界に引き込んでくれるのです。
そして何といっても、美しく淡い色彩で描かれたチョウたちののびやかな生態系。 アメリカのイラストレーター・シルビア・ロングの細やかな筆致と遊び心のある構図は、チョウへの愛情がにじみ出ています。 中でも虫眼鏡で拡大したチョウの羽根のうろこ・鱗粉(りんぷん)。 屋根のように重なり合って羽根を覆っているその繊細な描写は、リアリティがあるのに写真とは違う。 本物のチョウを目を凝らして観察しているような想像力を掻きたてられるのです。
再び卵からかえり、たくさんの葉っぱを食べてさなぎとなって待つ「がまんづよい」チョウ。 そして・・・! ラストページでは、チョウたちとともに舞い上がるような、解放的で清々しい読後感が私たちを迎えてくれます。
(絵本ナビ編集部)
チョウはきれい、チョウはへんしんする、チョウはがまんづよい、チョウは…不思議がいっぱい。世界におよそ2万種もいるといわれるチョウは、外見も生態もさまざま。旅をするチョウ、毒のあるチョウ、役に立つチョウ…と、自然界の知恵や不思議がいっぱいのチョウを、美しいイラストで紹介した知識絵本です。
動物の生態などを扱った科学絵本、知識絵本が好きな4歳息子と読みました。チョウについての説明はもちろん、たっくさんの綺麗なチョウをみれるので楽しかったです。ページいっぱいに描かれたチョウの中でどの柄のチョウがいいか?とわいわいしながら読みました。 (ままmamaママさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子6歳、男の子4歳、女の子1歳)
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