むかしむかし、ある小さな町に3人のおばさんが住んでいました。みどりおばさん、ちゃいろおばさん、むらさきおばさんです。そして、向かいの家には、あおおじさんが住んでいました。 さて、ある日曜日、おばさんたちは散歩の途中で犬のプリックがいないことに気がつきます。あわててあちこち捜しますが、プリックはどこにも見あたりません…。 プリックは辻芸人にさらわれそうになっていたのです。そこをみなしごの兄妹ペッテルとロッタに助けてもらい、みんな大喜び。そして、ふたりはおばさんたちの家で暮らすことになりました。 『ペレのあたらしいふく』『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』などで知られるスウェーデンの絵本作家エルサ・ベスコフ(1874-1953)の代表作「3人のおばさん」シリーズ全5冊がついに日本語版で出版されます。本書はシリーズの最初の巻です。
一緒に暮らす3人のおばさん達は、着ている服の色で呼ばれていますが、
その個性も、みどりおばさんは庭仕事、ちゃいろおばさんはお菓子作り、むらさきおばさんは刺繍が得意、と色のイメージ通り。
外国のお話では、名前の印象がつきにくいことがありますが、
このお話では呼び名ですぐイメージがわき、お話にも入っていきやすかったです。
おばさん達の関係の説明がないのですが、
私は昔からの友人が一緒に暮らしているのかなぁ、と感じました。
お向かいに住むあおおじさんも含めて、
それぞれの領分を尊重し、でも暖かなつながりを感じる関係性が素敵。
大人が「主人公の子どものお父さん・お母さん」ではなく、
個人として、こんな風に魅力的に描かれている子ども向けの物語ってなかなかないのではないかしら。
迷子の飼い犬をめぐる騒動は、おばさん達をみなしごの兄妹と惹き合わせてくれて・・・。
派手さはないけれど、ハラハラして、ホッとさせてくれるお話に引き込まれました。
息子達もいい顔して聞いていて、その後リクエストされ「3人のおばさん」シリーズを読破しました。
なかなかの文章量ですが、ひしきあきらこさんの訳は気持ちよく読め、長さが全く苦になりません。
私自身、黙読していたときよりずっと面白く感じました。
シリーズ1冊目は、やはりこの絵本からがおすすめです! (ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
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