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かぐわしい初夏の夕べ、小さなハリネズミが目をさまし、月夜の冒険に出発しました……。美しい田園の中でひそやかに繰りひろげられる小動物たちの絵物語です。
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アトリーはイギリスのひと。彼女の作品は古い農場で過ごした少女時代の体験がもとになっています。「グレイラビット」のシリーズの作者、と言えばご存知のかたもいらっしゃるでしょう。
あたたかい、かぐわしい夏のゆうべ。森かげではナイチンゲールがなやましげに鳴いています。月と星たちに見守られている麦畑は美しく輝き、夜風にそよぐさまはまるでひそひそとささやきあっている幾千幾万の声のようです。…なんとほっとする、そして豊かな歌なのでしょう。
片山健さんの水彩画の筆づかいが、うっとりするほど流麗に麦たちの歌を描ききっています。文章がなく、見開きいっぱいに波打つ麦の穂が描かれるページなどはため息ものです。そぞろ歩きをたのしむ小さな3匹の動物たちにとっては、まさに海のひびきのようであったことでしょう。
さあ、いい月がのぼった晩、あなたも外へ出て、じっと耳を澄ましてみませんか。青白い銀のシーツをかぶせられたようにほの光る景色の中、あなたには何の音が聞こえてくるでしょうか。 (あしたはいい日さん -・絵本紹介サイト )
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