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「山おくの蛇女」「ばけそこなった山婆」ほか、ふしぎなばけものの話を通じて、知恵と勇気を語り伝える日本の民話と伝説。
1970〜74年刊行「少年少女・類別/民話と伝説 全34巻」から、怖い話を中心に編集。日本に語り伝えられる14話を収録。
巨大な怪物、怖ろしい怪物が登場する話は、古事記の時代から日本各地にあった。
2006年、改版刊行。民話などでお馴染みの「九尾のきつね」「八俣のおろち」など、一度は読んだことがある話も。改めて読んで楽しんだ。
この本で初めて知ったものも多かったが、中でも「八郎潟」の由来の話が、印象に残った。
人間が龍になり、居場所を求めてさまよい、八郎潟に落ち着き、最後は似たような境遇の龍と結婚するという壮大な話。
途中に出てくるお坊さん(人間)が、龍になった八郎を追い出して、自分が十和田湖に入っていくというくだりが興味深い。
この話の中には、人間が強い意志によって「怪物」(人間以外の存在)になることが当たり前のように描かれている。
強い意志があると、人間とは思えないような活躍をする人が現れるが、そういうことを物語で暗示しているように思えた。
もっとも主人公の八郎は、うっかり岩魚を食べたことがきっかけて龍になっているので、一概に「強い意志があるものが変身する」とは言えない。そこも面白かった。
怪物が退治されて終わるのではなく、最後が幸せになって、自分に合ったパートナーと一緒になって、素敵な龍の夫婦になるところもとてもいい。お互い、珍しい境遇のドラゴン夫婦。末永く幸せでいて欲しい。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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