ギフチョウは日本海側に生息する、アゲハチョウの仲間です。 約1年の寿命の内、10か月近くをサナギで過ごし、 早春の時期に羽化し、美しいチョウになります。
『ぎふちょう』は、たまごが孵り、幼虫、さなぎを経て チョウに羽化するまでを描いた、ドキュメンタリー絵本です。
たまごのときに、ダニに中身を吸われてしまったり、 毛虫のときに、アリやオサムシに襲われたり、 サナギになって、ネズミに見つかり食べられたり。 絵本には、自然で行われている出来事が、リアルに淡々と描かれていきます。 可愛い虫や、ストーリーをイメージされていると、とても残酷に感じるかもしれません。 それでも、息をのむほど繊細に描かれた昆虫や植物、動物たちに、 目をそらすことができなくなり、ジッと見入ってしまうことでしょう。 子ども達も、この作品が伝えようとしている自然の真実を しっかりと受け止めてくれると思います。
2009年発売の『しでむし』に続く、舘野鴻さんの新作です。
(木村春子 絵本ナビライター)
生きものの営みを美しく緻密な絵で描く
1年の寿命のうち約10ヶ月をさなぎとして過ごすギフチョウ。まわりの林で起こる生きものの営みを美しく緻密な絵で描く。『しでむし』作者の新作。
ギフチョウの一生を描いた作品です。
作者があとがきで書いていますが、
競わず戦わず、気配を消して1年の寿命の大半を蛹で過ごすのです。
卵の時から、生存競争の中で次々と姿を消す兄弟。
もちろん、森の生き物たちも食べ、食べられ、の世界。
それらがしっかりと描きこまれています。
独特のアングルが、臨場感たっぷりです。
だからこそ、羽化はとても美しいです。
小学生から、森の中の命の営みを体感してほしいです。 (レイラさん 50代・ママ )
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