「ぼくのふとんは うみでできている」 魅力的なはじまりのフレーズ、どんな夜の世界が広がっていくのでしょう。 読む前からドキドキしてしまいます。
今日はねこのシロと一緒に寝る。 ザーン ザーン ぐう ぐう ぐう ザーン ザーン ぐう ぐう ぐう 気がつくと、ぼくもシロも深くて広いうみのふとんの中。 泳ぎが得意なシロの後ろについていくのは小さな貝殻。 おはよう。目が覚めるとシロのまわりにいたのは・・・!?
こんな日もあります。 「ぼくのふとんは ねこでできている」 もぞ もぞ もぞ ぐう ぐう ぐう これは気持ち良さそう! あまーい香りがしてきて目が覚めると、朝ごはんは?
これはいいな! 「ぼくのふとんは パンでできている」 少しかじったりしても大丈夫。ふかふか、むしゃむしゃ。 だけど、大きなぞうさんがぼくのふとんを食べちゃって・・・。
気持ちの良い眠り、あたたかなおふとん、深くて長い夜の世界。 そして感動的な朝、美味しい朝、幸せな気持ちの朝。 夢の世界と目覚めの行ったりきたり。 その不思議な時間の流れ、つながり、広がりが、伸びやかに、自由に、時には印象的に描かれています。
作者は絵本『オオカミがとぶひ』での鮮烈デビューが話題となったミロコマチコさん。 ミロコさんの描く迫力のある動物たちの絵が大好きなのですが、今回は「ぼく」の眠る時、目覚めの時の少し遠慮がちな微笑みに心を持っていかれちゃいました。可愛いのです。こねこ達に見つめられる場面もたまりません。
明日はどんな夢の世界が待っていて、どんな目覚めがあるのでしょう。 子どもたちの想像力が心地よく刺激されそうな、楽しくて素敵な絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
うみのふとんでおよぎ、ねこのふとんをこねこね、パンのふとんはむしゃむしゃ…。夜の夢と朝の目覚めの行ったり来たりが楽しい絵本。
息子は、保育園から帰ると猛ダッシュでお気に入りの白いふとんにくるまり、安堵の顔でふとんの匂いを吸い込みます。寝るときも白いふとんの端っこの縮れた毛玉を人差し指で一つ一つ触れながら眠りに落ちます。3歳の息子にとって、赤ちゃんから使っている白い毛玉のガーゼのふとんは何よりも大切なものらしいです。それは、息子の前では、大好きな海にもなるし、アイスクリームにもなります。
最近、少し絵本を読まなくなってきた息子を刺激してくれたのが、この絵本。大人が読んでもとても楽しく、絵本からはみ出しそうなダイナミックな絵は、子供の心をわしづかみにしたみたいです。もしあのふとんが海だったら、パンだったら、、、息子は目をギンギンにして、言葉を聞き漏らすまいと耳を傾けていました。
絵本の中の海が暗くて真っ黒になって、少し怖いかんじも気になったようです。ぞうさんやワニさん、ねこちゃんの家族など知ってる動物が意外な形で登場するのも面白くて、あっ!ワニさん!あっねこの赤ちゃん!といちいち声に出して指さしてました。特にぞうさんとおふとんをシェアする場面が印象的だったよう。大人のわたしは、絵本を読みながらねこのふとんやパンのふとんを妄想して幸せな気持ちになりました。
この絵本は、子どもと何回も読みたいです。 (マニールマニムンチョスさん 40代・ママ 男の子3歳、女の子0歳)
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