子供から大人に変わりつつある時期の子供達の世界を舞台に、
一度も学校に通ったことのない、
誰もが驚きで振り返って見てしまうような顔貌の男の子が初めて学校に通い始めるところから物語が始まります。
大人でも心無い人なら、その人柄を見ることもなく、
醜悪だと思い続けることでしょう。
けれど登場する子供達は、
徐々に、本当に徐々にではあるけれど、
顔貌とその心は別の物なのだと、
人と共に生きていく時、本当に必要なのはどんなことなのかを
自分の心で受け止め、考えていきます。
それが成長なのだと感じました。
主人公のオーガストが顔貌に対しての周囲の反応について、
諦めの気持ちを持ちつつも、
ひねくれすぎず、悲観することもなく生きていられるのは、
やはり両親の接し方が素晴らしかったからなのだと、
端々で感じられました。
見た目が普通で、何不自由のない生活をしていても、
心が美しくなるとは限らないのだということが、
親の態度如何でかなり決まってしまうのだということをも考えさせられます。
子供が読んで、心の成長とはなにか、友情とは何かということを考えるとともに、
親も読んで、子供の成長とは何か、子供の成長には何が重要なのかということをぜひ考えるためにも読んでみて欲しいと思う作品でした。