『星新一ショートショートセレクション2』(理論社)。
表題作である「宇宙のネロ」をはじめとして、17篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
星さんの作品は子供にも人気が高いのは、「ショートショート」ということで読みやすいということもあるだろうが、子供たちにも空想しやすいからだろう。
和田さんの挿絵は、そんな子供たちの空想をじゃましない。
だから、和田さんは挿絵担当だが、まるで星さんとの共著みたいといってもおかしくはない。
表題作の「宇宙のネロ」がいつ書かれた作品かわからないが、その書き出しにこんなセリフが出てくる。
「このごろのテレビ番組の、つまらないこと。」
そんな退屈な世の中に地球外からやってきた宇宙船が、「娯楽」を求めて攻撃してくるという物語。
そこで人類は連日「娯楽」番組を放送し続け、それはどんどん過激になっていくという、まるでテレビ界の世界を皮肉った作品で、テレビ放送70周年を迎えた今読んでも面白い。
一番面白かった、つまりオチが効いているのは、「オアシス」という作品。
わずか3ページの作品ながら、思わず「うまい!」と叫びそうになった。
瞬間芸のような作品だ。