息子と現在「うらしまたろう」を読み比べています。この本を手にしたら、「先生がこの本持っている」と言っていました。息子の園で劇をするのですが、なかなか息子の劇と同じ話というのは見当たりません。劇用に作り変えられているのかもしれませんが。
本によって所々設定が違います。この本は、先に読んだ松谷みよ子と岩崎ちひろのものに近く、乙姫様はたろうが助けたかめです。
この話では、たろうは乙姫様の婿として迎えられています。
この話、恩返し物として有名ですが、玉手箱をあけるとおじいさんになります。それは果たして恩返しなのか?乙姫様は「「けっして あけてはいけません」と渡しますから、開けないことを信じていたのかもしれません。
すると、恩返しは玉手箱ではなく、竜宮城で長く楽しい生活を保証しようとしたことではないかと思われてきました。
楽しい生活よりも、両親の消息が知りたかったたろう。それは人として抑制のきかない感情だったのでしょう。
この話では、おじいさんになってしまいますが、鶴になったという話もあり、一度現世でない世界を覗いてしまった人間は、元に戻れないという暗示かもしれず。読めば読むほど、奥深い話だなあと思いました。
絵と文には、静かさの中にある物悲しさが感じられました。