「コウモリ うみにいく」に続く第2弾。
ブライアン・リーズは、1963年アメリカのニュージャージー州生まれで、既に20冊を越える絵本を発表しています。
前作に続き、その精緻な絵は、驚愕。
主人公のコウモリですが、精緻だけでなく、程よくデフォルメが効いていて、その加減が絶妙です。
前作では、コウモリが、夜に海水浴に出かけるというストーリーで、その発想自体も素晴らしいものだったのですが、その虫を食するシーンが、あまりにもリアルで、その点だけがマイナスでした。
さて、今回の舞台は図書館。
図書館の窓が開いているという情報が入り、コウモリ達が喜んで図書館に向かうシーンで物語は始まります。
図書館という設定が◎。
大人達は、蛾の図鑑や数学の本(「フィボナッチ 自然の中にかくれた数を見つけた人」に登場の図式)を読んでいます。
それに対し、子供達は、OHPやコピー機、果ては飛び出す絵本のお城で遊んだりと、本を読むこと以外に夢中です。
それでも、大人が本を読み聞かせを始めると、みんな大人しく聞き始めるのですが、コウモリらしく本も聞き手のコウモリの子供達も逆さまというのが、良い感じです。
それぞれが、本の魅力に引き込まれ、本の登場人物になりきる様が描かれているのですが、その本の多彩なこと。
「オズの魔法使い」「かもさんおとおり」「おやすみなさい おつきさま」「アラジンと魔法のランプ」「チキチキバンバン」「赤頭巾」「アーサー王」等々、分からないものもありますが、とても魅力的な絵図が目白押しです。
今回の作品は、その精緻な絵のみならず、場所の設定が図書館ということが奏効し、非常に楽しめる作品に仕上がっています。
何と言っても、本を読むということの楽しさが伝わってくるのが、ポイントでしょう。
アメリカでは第3段も発刊されているので、その邦訳も待ち遠しいところです。
それにしても、コウモリに焦点を当てたブライアン・リーズのセンスには脱帽です。
作者紹介の写真も逆さまになっていて、そのユーモアセンスも納得できるものだと思います。
超オススメの作品です。